《一票の先に 衆院選2021》(4)デジタル化 対応力に世代間格差
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前橋市中央公民館で開かれたシニア向けスマホ講座。参加者は説明を聞きながらアプリをインストールした

 「アプリはどこから取ってくるの」「Wi-Fi(ワイファイ)の設定方法は」「自分のメールアドレスが分からない」―。今月中旬、前橋市の中央公民館で開かれたシニア向けスマートフォン講座。参加した60~80代の17人は持参したスマホを手に、休み時間も含めて途切れることなく質問を続けた。5人のスタッフだけでは対応しきれないほど、次から次へと手が上がる。

 参加者はスタッフの説明を聞きながら天気予報やラジオ、「お薬手帳」など好みのアプリを自らのスマホに入れて設定した。ゲームアプリ「ポケモンGO」をダウンロードした市内の女性(77)は「知らなかった新しい世界に飛び込んだ気分」と声を弾ませる。

 スマホを使いこなせる人とそうでない人の格差を解消しようと、市は8月以降、高齢者らを対象にしたスマホ講座を集中的に実施している。公民館などで120講座を実施する計画で、基本的な操作やアプリの活用方法などを指導し、最終的にスマホで行政手続きができるようにするのが狙いだ。

 スマホの普及などを背景として、国内におけるデジタル化は急速に進む。国は9月、各省庁を統率する司令塔の役割を担うデジタル庁を設立。これまでもデジタル化の土台となるマイナンバーカードの普及に力を入れており、今月20日には保険証としての機能を持たせる制度が本格的に始まった。

 一方、全国のカード交付率は38.4%とまだ半数に満たない。本県全体のマイナンバーカード交付率は32.4%(10月1日時点)で、タクシー運賃助成制度などカード活用に積極的に取り組む前橋は39.0%と12市で最も高いが、多くの市が3割程度にとどまる。人口規模が小さい町村ほど交付率は低くなる傾向で、高齢化率が7割に迫る南牧村は20.6%と県内で最も低い。

 村内外で手織り教室を開く塩田喜代江さん(74)=同村小沢=は日常生活で必要な場面がないこともあり、同カードを取得していない。自宅にパソコンはあるが、インターネット手続きの煩雑さも取得をためらう理由の一つだ。

 自然がきれいで住民同士の温かな交流が残る村での暮らしは、デジタルに関係なく豊かさを感じさせてくれる。その一方、インターネットを通じて教室の活動を発信できたらいいなとも思う。

 「若い人と違って知識がない私たち世代は、置いていかれている感じがする」。デジタルを遠いと思う人にも等しく手を差し伸べるのが、政治の役目であってほしいと願っている。
(斉藤弘伸)

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