遺跡活用し地域振興 渋川市が有識者会議立ち上げへ
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 よろいを着た古墳人が見つかった金井東裏遺跡(群馬県渋川市金井)など市内に点在する遺跡に関し、市は活用に向けた新たな検討を始める。庁内横断的な委員会を20日に立ち上げるほか、9月には有識者による検討会議を設置する。6世紀に榛名山の噴火で被災した他の遺跡とも関連付けながら、価値を広める情報発信に力を入れる。冊子作りや解説員の育成、ツアーの実施といったさまざまな取り組みを充実させ、地域振興や交流人口の増加につなげたい考えだ。

対象とする遺跡は金井東裏遺跡をはじめ、古墳時代の村の姿がそのまま埋もれていた黒井峯遺跡(国指定史跡、同市中郷)、竪穴住居や祭祀(さいし)跡などが見つかった中筋遺跡(県指定史跡、同市行幸田)の三つ。いずれも榛名山の噴火による軽石や火山灰で埋もれたり、火砕流によって押しつぶされた。

 来月設置予定の「榛名山噴火関連遺跡等活用に関する有識者会議」は10人程度で構成する。県立歴史博物館や県埋蔵文化財調査事業団に協力を依頼するほか、観光や教育関係者らに参加を求める。遺跡を地域振興に結び付けるための活用について意見を聴き、一定の方向性を見いだすことにしている。

 具体的な活用策は有識者会議や庁内委員会で詰めるが、遺跡公園やガイダンス施設といったハードの整備を目指すのではなく、調査報告書を分かりやすく解説する冊子や子ども向け教材の作製のほか、解説員の育成、三つの遺跡を巡るツアーなど、ソフト面での活用を想定している。

 遺跡活用の一環として、市教委は今年2月に同博物館の右島和夫館長の講演会を開き、6月には遺跡をつくる基となった榛名山二ツ岳の噴火痕跡を巡るツアーを開催した。いずれも定員を大幅に上回る応募があるなど、遺跡に対する関心の高さがうかがえたという。

 金井東裏遺跡の調査報告書が本年度中にまとまることなどから、他の遺跡と合わせて活用策を検討することにした。高木勉市長は「まずは地元の方に価値を認識してもらい、誇りを持って発信してほしい。その過程で施設整備の要望などが出てくれば、改めて考えたい」と話している。

 【金井東裏遺跡】 国道353号金井バイパス建設のための発掘調査で2012年11月、国内で初めて甲を装着した成人男性が見つかった。近くでは乳児や首飾りを着けた成人女性も見つかっている。

 【黒井峯遺跡】 1982年、軽石の下から住居だけでなく、家畜小屋、垣根や道、苗代など古墳時代の村が見つかった。「日本のポンペイ」とも呼ばれ、国史跡に指定されている。

 【中筋遺跡】 榛名山噴火による火砕流で被災した。1986年の発掘で、竪穴住居と平地建物などが良好な状態で見つかった。複数の構造物が復元されている。

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