前田町長が辞職願 町議選 反対派大勝で引責 みなかみ

 セクハラ問題を巡る町政停滞などを理由に町議会から不信任決議を受けた群馬県みなかみ町の前田善成町長が10日、町議会事務局長宛てに辞職願を提出した。議会解散に伴う9日の町議選で、町長を支持しない反町長派が大勝した責任を取るためとしている。町選挙管理委員会などによると、10月30日までに町長選が行われる。

 前田町長は10日に県庁で会見し、「支援、擁立した候補が落選した責任を取りたい。セクハラ問題が辞職の理由ではない」と説明。自身の議会解散による町議選実施に関し「町民の皆さまに選挙でご迷惑をかけ、おわびする」と謝罪した。次期町長選への出馬は「現時点では何も考えられない」と明言を避けた。セクハラの意図については一貫して否定している。

 反町長派は「辞職の理由が(セクハラ問題や町政停滞ではなく)選挙の敗北では納得できない」として、不信任決議案の再提出を検討している。18日に開かれる予定の議会に提出され、3分の2以上が出席して過半数が賛成すれば可決し、町長は失職する。上毛新聞の取材で、新町議18人のうち17人が賛成する意向を示している。辞職の期日は30日付で、それ以前に町議会が同意すれば辞職となる。

 町議会は町政混乱の責任などを問い、7月に不信任決議案を可決。町長はこれに対抗して8月に町議会を解散した。セクハラ問題を巡っては、県警が強制わいせつの疑いで前田町長を立件する方針を固めており、近く書類送検するとみられる。

◎「セクハラ 理由でない」 前田町長一問一答

 みなかみ町の前田善成町長は10日、県庁で記者会見を開き、町議選の大敗を理由に辞職を決意したと説明した。争点が「親前田」か「反前田」になったことへの恨み節も口をついて出た。主なやりとりは次の通り。

―辞職を決めた理由は。
 選挙で支援、擁立した方々が落選してしまった。自らの職を辞することでその責任を取りたい。

―擁立したのは何人か。
 前職2人、新人6人、元職1人の計9人にお願いした。(町長の)不信任、信任に関係なく、閉塞へいそく感のある今のみなかみを変えていきたい、良くしたいという志のある人を選定したが、当選したのは3人だった。

―町議選の敗因は。
 財政、福祉、観光といった(政策)内容より「親前田」「反前田」という話になってしまった。解散時に訴えたRDF(廃棄物固形燃料)も議論にならなかった。とにかく白か黒かみたいな話が横行してしまったのが原因。ただ、通常、町議選は候補者がいない、若い人が出てこないという話があるが、29人が立候補し、そのうち30代が4人いた。選挙を通じて町をしっかり見ていきたいという人たちがいたことが分かった。投票率も上がり、高い関心があったと思った。

―民意は白と黒のどちらを選んだと思っているか。
 結果がそういうことだから、記者の方が思っている通りだと思っている。

―辞職に伴い町長選が行われる。再出馬するのか。
 解散後は、町議選に向けて一生懸命仲間と政策を考えていたし、町議選の結果を受けて(辞職を決意し)会見を開いた。これから関係者と話をしたいと思っているが、先については現時点では考える余裕がない。

―セクハラへの認識やセクハラを受けたとされる女性に対しては。
 今回の選挙では論点になっていない。辞職はセクハラが理由ではない。

―女性を名誉毀損きそんで提訴したが、今回の辞職で取り下げることはあるか。
 それはない。相手の方と話ができていないので、自らそういった機会をつくった。法廷の場で皆さんに示したい。

―町議会による辞職願同意、または不信任決議案可決のどちらを望むか。
 議会が決めることだが、辞めさせてほしいと考えているので同意してほしい。

《解説》町民の審判 重く

 セクハラ問題発覚から4カ月を経て、前田善成町長は自ら身を引く決断に至った。不信任決議案可決後の8月6日の会見では「後援会や地元の声を聞き、9割が解散を求めていた」と今回の解散の動機を話していたが、ふたを開けてみれば町長側は大敗。町民の審判を重く受け止めざるを得ない結末になったと言えるだろう。

 町長は辞職の理由をあくまで「選挙戦敗北の責任」と強調し、セクハラ問題や町政の停滞とは無関係であると示唆した。町議選敗北の原因を「候補者個々の政策よりも、親前田か反前田かという点に終始してしまった」とした。自身が町民から信任を受けられなかったと自覚したようだが、「町政の停滞について自分は直接聞いていない」など、選挙結果を受けても町民の声を素直に受け止められない姿勢も見受けられた。

 8月の立候補予定者説明会で阿部勝・町選挙管理委員長は、町長の議会解散に伴う今回の町議選を「異常事態」と表現した。誘客を進める観光のまちとして大きなダメージだったが、収束の時期は近づいている。18日の初招集で、議会が町長の辞職を受け入れるのか、一連の問題に対し不信任によって引導を渡すのか、注目されている。

 今回当選した中には町長が推したとみられる町議もいる。感情的なしこりは残るかもしれないが、新たな18人で建設的な議論を心掛け、力を合わせて町政の正常化を進めてほしい。(沼田支局 高野誠也)

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