おいしい水でクラフトビール 個性醸す8社 地産の麦も活性化一役
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 

 記録的な猛暑に見舞われた今夏、冷えたビールで暑気払いを楽しんだのでは。首都圏の水がめである群馬県では、良質でおいしい水を生かしたクラフトビールが造られている。現在醸造している8社のうち5社が北毛地域にあり、作り手の思いが込められた個性的なビールが目立つ。

 歴史の長い醸造所の一つが、月夜野クラフトビール(みなかみ町)。クラフトビールブームだが、あえて自社商品を“地ビール”とうたう。醸造担当の斎藤季之さんは「麦芽100%であり、伝統的なビールを造っていると表現するため」と説明。日本初のペットボトル入りも販売し、注目されている。

■米国に輸出

 浅間高原麦酒(嬬恋村)は、県内各地の大麦や小麦を使った製品も手掛ける。「前橋ウィート」「高崎ポーター」など地名を冠したビールを造り、地域活性化を応援する。今春は藤岡市産の六条大麦で造った「藤岡ビール」を試作。二条大麦に切り替えて来年の販売を目指す。

 田園プラザ川場(川場村)は「川場ビール」を米国に輸出するほか、地元ブランド米「雪ほたか」を副原料にした製品を造るなど、ビールを通じて村をPRする。「オゼノユキドケ」の龍神酒造(館林市)は江戸時代創業の酒蔵で、1997年に県内で初めて地ビールの製造本免許を取得。井戸水を使った香り豊かなビールが特徴だ。

 観光地の活性化に一役買っているのが、四万温泉エール(中之条町)。地元のサンショウ、ショウガ、リンゴを使用するなど地域色の強い製品を期間限定で提供する。「四万温泉でしか飲めない」とプレミアム感も売りにし、消費者の心をくすぐる。

■SNSで話題

 県内で最も新しい醸造所「OCTONE Brewing(オクトワンブルーイング)」(みなかみ町)も水上温泉のにぎわいづくりに貢献する。地元経営者らの支援を受け、空き店舗を活用して今春オープンした。同町出身の竹内康晴代表は「ビールを通じてまちを知ってもらったり、訪れた人が楽しくなったりするきっかけになれば」と話す。
 世界進出を視野に、夢麦酒太田(太田市)は2016年、新ブランド「CHROA(クロア)」を立ち上げ、地元色が強かったイメージを一新した。味を見直し、瓶のラベル裏のポエムは会員制交流サイト(SNS)で話題となり、売り上げ増につながった。
 醸造所の横の連携は今のところあまりない。シンキチ醸造所(高崎市)の堀沢宏之代表は「イベントや醸造技術の勉強会を一緒に開いたり、行政と連携したりする動きが生まれれば」と望む。

若者人気でブーム再来


 日本地ビール協会などによると、1994年の酒税法改正に伴って第1次地ビールブームが起き、98年ごろに全国の醸造所が約300カ所に膨れ上がった。だが、品質の低迷や過剰投資などのため多数が撤退、2004年ごろに約220カ所まで減った。

 その後、若い世代に人気が高まり、首都圏を中心に専門に扱う飲食店が増え、10年ごろに「クラフトビール」としてブームが再来。醸造所は18年3月時点で約330カ所まで増えた。

 全国のクラフトビールを紹介するウェブサイト「ビアクルーズ」管理人の西山隆文さん(愛知県)は「(味だけでなく)誕生した経緯や、町おこしに役立てたいなど作り手の思いを知ることも楽しめる」とクラフトビールの魅力を話す。(浜名大輔)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事