スムーズに取れるか 有給休暇 来春から義務化 中小企業に懸念
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 働き方改革関連法が順次施行されるのに伴い、来年4月1日、年次有給休暇の取得義務化が始まる。職場への配慮やためらいなどで有休取得率は低迷し、厚生労働省の全国調査では、2016年の群馬県は全国平均(49.4%)を下回る45.7%にとどまっている。義務化で大幅改善が期待される一方、人手不足に悩む業界や小規模の事業所は対応に追われそうだ。

◎専門家は義務化機に意識改革促す

 義務化は改正労働基準法に規定され、年10日以上の有休を付与されている労働者(管理職を含む)が対象。現行法では労働者の申し出による取得のみだったが、5日分については本人の希望を踏まえ、事前に時季を指定して与えられる。違反した企業は30万円以下の罰金の対象になる。

 人手不足と高齢化が課題の運送業界。県トラック協会は932事業者のうち保有車両20台以下の中小零細事業者が76%を占め、経営者自らが運転に従事するケースも少なくないという。

 高橋千明専務理事は「会員は厳しい環境の中で働き方改革に取り組んでいかなくてはならない。確実に守ってもらうため、協会として浸透を図りたい」と話し、本格実施を前にセミナーや講演会を開いて会員に周知している。

 介護業界も深刻で、高崎市で有料老人ホームを運営する男性(33)は「ぎりぎりの人員でやりくりしている。職員に有休を取らせる分、私や管理職が身を削る場面が増えるかもしれない」と懸念する。

 労働者の受け止めはさまざまだ。ハウスメーカー営業の男性(25)=前橋市=は「今は人員が少ないので週休1日。義務化が始まったら仕事に支障の出ない範囲で有休を取りたい」と話す。

 同市の男性(28)が勤務する金融機関は取得を促進しており、毎年10日間の有休を消化している。ただ、「人員が減り、休みを取るのがだんだん難しくなっている」。職場に気兼ねなく休めるよう「業務量を見直していくべきだ」と指摘した。

 働き方改革全般の相談に応じるため、県社会保険労務士会は今年4月、群馬労働局から委託を受けて県働き方改革推進支援センターを開設。9月までに社労士の派遣やセミナー開催などの活動が66件に上った。

 富岡政明会長は「中小企業では、有休取得により1人当たりの業務量が増えることや、取得に消極的な風土が根強く残っている。義務化を機に、経営者も労働者も意識を変えていく必要がある」と話している。

 《年次有給休暇》 仕事を休んでも賃金が支払われる休暇。労働基準法は勤続年数に応じて企業が最低限付与すべき日数を定めている。取得目的は自由で、休んだ人への不利益な扱いは禁止されている。半年継続して雇用されている場合、10日間の有休が与えられる。正社員か非正規かは問わないが、短日勤務(週の労働日数が4日以下で30時間未満)の場合は日数が少なくなる。

◎取得率 業種で差…群馬県中小企業団体中央会が調査

 群馬県中小企業団体中央会の労働事情実態調査によると、2016年度の労働者1人平均の年次有給休暇は15.71日で、このうち取得したのは7.68日、取得率は48.9%だった。

 取得率を産業別に見ると、製造業は50.5%と半数を超えたが、非製造業は47.1%だった。化学工業品製造が61.8%と最も高かった一方、最も低い卸売業は35.8%と26ポイントの開きがあった。

 従業員数別では、30~99人の規模が50.3%と最高で、100~300人規模が44.2%で最低だった。

 調査は県内に事業所のある従業員300人以下の中小企業1300社を対象に実施し、480社が回答した。

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