高齢化進む歯科技工士 若手離職 担い手心配 労働長く低収入環境改善が急務
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歯科技工士として働く坪根さん。「ものづくりが好きな人には楽しい仕事」という

 医療分野の専門職ながら、若手の離職に歯止めがかからない歯科技工士。全国の養成施設への入学者数は2017年度に927人と20年で3分の1に激減し、本県でも高齢化や担い手不足が懸念される。背景には長時間労働や収入の低さなどがあると指摘され、県歯科技工士会は労働環境の改善に取り組む方針だ。

 歯科技工士は、歯科医師の指示書に従って入れ歯やかぶせ物などの「補綴(ほてつ)物」を手掛ける国家資格で、県内には養成施設がない。県医務課によると、16年の就業者数は667人で10年前から13%増えているが、同会の金井孝行会長(61)は「廃業しても届け出ない人もいるので、実数は減っているだろう」と指摘。少子化や若手の離職で、全国の50代以上の割合は06年から16年までに30%から47%へと上昇し、高齢化が顕著になっている。

 金井会長が経営する歯科技工所、カナイナビデント(高崎市中尾町)に勤務する坪根智也さん(36)は埼玉県内の養成学校を卒業後、同社に就職した。同級生の半数以上は離職したといい、「ほとんど手作業なので夜遅くまでかかることもある。家庭を持つと『続けられない』と感じる人が多いようだ」と話す。

 歯科技工士の魅力を「人間にとって大切なそしゃくを支える仕事。ものづくりが好きなのでやっていて楽しい」と語り、「活性化のためにも、意欲のある若手が報われる業界になってほしい」と願う。

 県保険医協会が16年に県内の歯科技工所を対象に行った調査で、1年間の可処分所得が200万円以下の人が48%を占めた。技工物の価格が低くなる原因に、技工所間のダンピング競争や歯科医院による値下げ要請を挙げ、「40年以上、技工料金が変わらない」「収入を上げるには数をこなすしかない」との回答もあった。

 こうした問題を受け、厚生労働省は18年度、養成や人材確保に関する検討会を立ち上げ、対策を議論している。金井会長は「働き方改革を推進し、若者や子育て世代が長く働ける環境をつくることが急務」とし、政府には「離職した人を業界に呼び戻す取り組みを」と求めた。

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