「ネットで悪口」 踏切で死亡の高2女子 いじめ訴えるメモ
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女子生徒の遺影を前に、悲しみをこらえる両親=6日、前橋市内の自宅

 群馬県の県立高校2年の女子生徒(17)=前橋市=が2月1日夜、自宅近くの線路で電車にはねられて亡くなった。群馬県警は自殺とみている。自宅にはいじめ被害に悩んでいたことをうかがわせる数十枚ものメモが残されていた。両親は「学校でいじめに遭っていた」と訴え、学校に真相究明を求めている。最愛の娘を失った両親は「悲しみが日に日に大きくなる。涙が止まらない」と沈痛な思いを打ち明けた。

◎相談 一度のみ 「もっと悩みを聞いてあげられていたら」

 高校の制服、大好きだった漫画、中学時代から愛用するテナーサックス―。女子生徒の部屋は生前と変わらぬままだ。

 父親はアルバムをめくりながら、「かわいらしい子だった」と声を絞り出す。女子生徒は高校卒業後に「就職してパパとママの面倒を見る」と話していた。浴衣や着物が好きで、将来は「旅館のおかみ」になるのが夢だった。

 前橋市内の中学校から県立高校に進学。明るい性格だったという中学時は吹奏楽部に所属し、周囲を笑わせるのが好きだった。高校入学後に頭痛や腹痛などを訴えるようになり、泣きながら帰宅することもあった。

 帰宅後、30分以上も手を洗い続けるなどの異変がみられるようになり、専門の医療機関を受診するようになった。母親は「学校、休んだらどう」とも言ったが、極端な体調不良などを除いて学校に通い続けた。

 「悪口を言われている」。いじめに関し、両親への相談があったのは1年生の時の一度だけ。学校に相談し、問題は解決したと思っていた。2年生になって再び表情が暗くなり、「学校、大丈夫?」「まだ悪口言われているの?」と尋ねても、女子生徒は「私はお面をかぶるのが得意だから」と答えたり、はぐらかしたりした。

 昨年10月、家族3人で熊本県を旅行した。女子生徒が好きだったアニメキャラクターにゆかりのある阿蘇神社を訪れた。気分転換をさせたかったが、「笑顔がなく、ずっと暗かった」。

 今年1月ごろから体調が悪化。亡くなった当日、女子生徒は学校で倒れ、家族が病院に付き添った。帰宅後、行方が分からなくなった。その後、自宅近くの線路ではねられた。両親は病院での変わり果てた娘の姿を忘れることができない。

 自室には「先生は私の言葉を信じてくれなかった。ネットで悪口を言われてるのは本当なのに」「そうか、すべて私が悪いのか。もういいや。私、もう」などといじめ被害に苦しんだことをうかがわせるメモが大量に残されていた。

 両親は悔やむ。「弱い部分を見せない子だった。もっと悩みを聞いてあげられていたらよかった」

 8日、家族のみの法要がひっそりと執り行われ、女子生徒は納骨された。

◎月内にも調査結果 生徒らに聞き取り 県教委が遺族に

 県立高校2年の女子生徒が電車にはねられて死亡し、いじめに悩んでいたことをうかがわせるメモが見つかった事態を受け、群馬県教委は8日、同校が教職員や生徒への聞き取り調査を始めており、月内にも結果をまとめ、遺族に示す方針を明らかにした。遺族の意向を踏まえ、第三委員会の設置も検討する。同校の校長は上毛新聞の取材に「生徒の命が失われ、痛恨の極み」と述べ、校内調査を急いでいると説明した。

 県教委は同日、県庁でこれまでの対応などを説明。同校が全教職員や、亡くなった女子生徒と仲が良かった生徒らから事情を聞き取り、月内に調査結果をまとめる見通しを示した。結果を遺族に報告し、遺族の意向を踏まえて有識者らでつくる第三者委員会の設置が必要かを判断する。

 同校では7、8両日、後期選抜試験が予定通り行われた。

 県教委によると、同校を含む県内公立学校では、少なくとも各学期に1回、全児童生徒を対象に、いじめの有無など確かめるアンケートを実施している。県は2017年、スクールカウンセラーの全校配置や相談窓口の周知などいじめの未然防止や早期発見に向けた「県いじめ防止基本方針」を策定している。

◎「なぜ防げなかったか」…校長一問一答

 亡くなった女子生徒が通っていた県立高校の校長は8日、上毛新聞の取材に応じた。一問一答は次の通り。

―生徒が亡くなった。遺族はいじめが原因だとして事実究明を求めている。
 かけがえのない生徒の命が失われたことは痛恨の極み。遺族に対して、心よりお悔やみ申し上げる。なぜ防げなかったのか、学校でのいじめの有無を含めて現在調査している。

―調査はどんな方法か。見通しについては。
 全教職員、一部の生徒に対して聞き取り調査を行っている。3月中には調査結果を遺族に伝えたい。

―生徒が亡くなった後の対応、他の生徒への心のケアは。
 本校の生徒が亡くなったことについて、全教職員に伝えた。生徒に伝えたかどうかは回答を差し控えたい。スクールカウンセラーを配置するなど、県教委の支援を受けながら生徒の心のケアに当たっている。

「事実関係 検証し対応」…笠原寛県教育長のコメント

 未来に無限の可能性を持った 生徒の尊い命が失われたことは、痛恨の極みであり、あらためて亡くなられた 生徒のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げる。現在、学校で基本調査を行っており、その結果をご遺族に説明する。児童 生徒の安全を守ることは、われわれ教育関係者の最大の使命。教育委員会としても事実 関係を検証し、ご遺族の意向も踏まえた上で適切に対応する。

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