「忘れてほしくない」 風化防止訴える 関越道バス事故から7年
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事故現場近くの献花台で手を合わせる遺族ら

 群馬県藤岡市の関越道で乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故は29日で発生から7年となった。事故発生時刻の午前4時40分に合わせ、遺族ら約30人が事故現場の直下に設けられた献花台に手を合わせた。遺族らは最愛の家族をしのび、悲惨な事故が繰り返されないよう願った。

 「母を失った喪失感は何年たっても消えない。もっと話したかったし、一緒に出掛けたかった」。母の郁子さん=当時(49)=を亡くした林彩乃さん(30)=富山県高岡市=は唇をかみしめた。彩乃さんはバスの左座席の通路側に、郁子さんは窓側にそれぞれ乗車し、自身も大けがを負った。「遺族にとって事故は過去のものではなく、ずっと続く。一人一人が交通安全の意識を高めてほしい」と願った。

 母の直美さん=当時(44)=を亡くした山瀬俊貴さん(26)は事故をきっかけに県警の警察官になった。この春、念願だった白バイ隊員になり、新たな一歩を踏み出した。「事故に遭わないよう、見守ってほしい」と直美さんに伝え、「遺族として、警察官としても、悲惨な事故を一件でも減らせるよう取り組みたい」と誓った。

 妹の紗知さん=当時(19)=を亡くした富山市の宮下拓也さん(34)は「元気で過ごしていると報告した。事故について知る機会が少なくなっている。事故があったことを忘れてほしくない」と語った。

 現場には日航機墜落事故で次男の健君=当時(9)=を亡くした美谷島邦子さん(72)の姿もあり、遺族らと声を掛け合っていた。「関越道バス事故を絶対忘れないように、の思いで来た。公共交通の事故の遺族同士として、事故を風化させないように一緒に取り組みたい」と語った。

 現場近くの藤岡市岡之郷の観音寺で住職らが読経し、遺族らは花や線香を供えた。同市のアマービレ・オカリナ会は事故現場や寺で演奏、慰霊した。

◎今も消せないメール…一人娘亡くした石川の岩上さん
 一人娘の胡桃くるみさん=当時(17)=を亡くした岩上剛さん(47)=石川県白山市=の携帯電話には今も消せないメールのやりとりが残っている。事故の2日前、看護師を目指していた胡桃さんに「父さんが病気になったら看病してね」と送信すると「わかったよ」との返事。「夢をかなえてあげたかった。悔しい」と言葉を詰まらせながら語った。

 7年前の大型連休。胡桃さんは母親と2人で都内へ買い物に向かう途中で事故に遭った。成長を楽しみにしていた娘の未来が一瞬にして奪われ、気持ちはまだ整理できていない。しかし、「娘のために群馬を訪れるのは私の務め」とする。

 日航機墜落事故や軽井沢バス事故の遺族らと連絡を取り、現場にたびたび足を運ぶ。悲惨な事故を二度と繰り返してはならないとの思いからだ。「社会全体で何かしないと事故はなくならない。事故のない世の中になってほしい」と強く願った。

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