南牧バス事故から1週間 白バスの横行懸念
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崖下に転落したバス(5月11日付より)
南牧村の崖下に転落し、その後引き上げられたバス(5月12日付より)

 群馬県南牧村で乗客12人が重軽傷を負ったバス事故は17日で発生から1週間になる。バスを運転していた容疑者の男(66)=業務上過失傷害容疑で逮捕、送検=を巡っては無許可で有料運行する白バス営業をしていた疑いが浮上。白バス営業は、関越道バス事故(2012年)でも問題視された。20年東京五輪・パラリンピックに向けた需要増や人手不足を背景に違法な白バスの増加も懸念され、関係団体は警戒を強めている。

◎「他にもある」東京五輪が近づき横行懸念

 「白バス営業が本当だとしたら、まだやっている人がいるなんて」。県内バス業界の関係者は驚く。

 貸し切りバス事業には、安全管理のため運行管理者や整備管理者を配置することが義務付けられている。白バス営業は、こうした人件費などを抑制して安く事業を展開できる点に「うまみ」があるとされる。

 白バス営業は、水面下で横行しているとの指摘もある。県内旅行業界の関係者は、貸し切りバス事業の許可を得て「緑ナンバー」のバスを持っていても、不足した時に「白ナンバー」を使う場合は県内でもみられる、と打ち明ける。

 今回の事故では容疑者の男が茨城県に拠点を置き、同県の客が利用していた。同県のあるバス会社は関越道バス事故後、規制強化に伴い維持費が増えたため、料金を引き上げた。割高と感じた乗客を狙った白バス行為は「おそらく他にもある」(同社)とみる。

 訪日客の増加を背景に需要が高まり、運転手が不足している事業所もある。東京五輪が近づけば「手を染めるケースがさらに増えるのでは」(同)との見方もある。

◎事業者の見極めを、県バス協会呼び掛け

 こうした現状を踏まえ、関係団体は違法行為の根絶を目指す。県バス協会は、日本バス協会の「貸切バス事業者安全性評価認定制度」を取得済みの会社や協会員を選ぶなどして、適切な事業者を見極めてほしいと呼び掛ける。小林勝市会長(80)は「乗る側も『安ければいい』ではなく、命を一番に、安全への意識を持って事業者を決めてほしい」と強調する。

 一方、今回の事故で、バスはタイヤが動きだすのを防ぐ「タイヤ止め」をしていなかった可能性が高い。県トラック協会は事故翌日の11日、武井宏会長名で全会員に対しタイヤ止めを活用するよう通知した。担当者は「基本的なことだが再徹底した」と説明する。

 県内では17年、藤岡市の緩やかな傾斜地で無人のトラックが動きだし、男性がはねられ死亡する事故が起きている。同協会の担当者は「タイヤ止めがあるだけで全然違う。置いている会社の社会的な信用度も高まる」としている。

 白バス営業 無許可で乗客から運賃を受け取り、運送事業を営むこと。道路運送法が禁じている。貸し切りバス事業を行うには同事業の許可を国から得た上で、事業用自動車を登録し「緑ナンバー」を得る必要があり、5年ごとの更新なども求められる。

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