経営者に禁錮1年8月の実刑判決 渋川の焼肉店死傷火災
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 群馬県渋川市の焼き肉店「ホルモンKou」で2017年に客ら10人が死傷した火災で、防火態勢の不備から火災を起こして客2人を死傷させたとして、業務上過失致死傷の罪に問われた同市渋川、飲食店経営の男(40)の判決公判が10日、前橋地裁であった。水上周裁判長は「目先の利益を優先し、店内の人の生命や身体を軽んじていた」として、禁錮1年8月(求刑・禁錮2年6月)の実刑判決を言い渡した。

 判決理由で水上裁判長は、店内の安全性に注意すべきなのに、店舗2階に可燃性のよしずや自作の排気ダクトを自ら設置したと指摘。ダクトに引火し、天井のよしずに燃え移って火が広がる恐れがあったが、そのまま営業を続けたことで本件火災を発生させ、客2人を死傷させたとした。

 排気ダクトから「黒い脂が垂れてくる」との苦情があり、16年にしちりんから排気ダクトに引火する火災が2度あったと説明。ガス業者から設備の危険性を指摘された上、系列店で天井のすだれを撤去するよう消防から指導されたことを踏まえ、「本件火災の予見可能性は相当に高かった」と結論付けた。

 売り上げを増やそうと、被告が2階のわずか30平方メートル未満の座敷に約40人分の客席を設けていたことも疑問視。防火対策の専門的な知識もないのに業者や消防に相談せず、十分な清掃もしていなかったとして「酌量すべき点はない。本件火災は、まさに起こるべくして起きた」と断じた。

 死亡した高崎市の会社員男性=当時(35)=については「突然、最愛の家族を失った妻や幼い子ら遺族の心痛は察するに余りある」と推し量った。火災から約8カ月後に被告が別店舗を始めたにもかかわらず、2年余り経過した現在も遺族や負傷者に弁済をしてない点について「被害者や遺族の処罰感情が強いのは当然」とした。

 遺族側の弁護士によると、会社員男性の妻は判決後、「(小野被告が)実刑になっても亡くなった夫が帰ってくるわけではない。悲しみが消えるわけでもない」と話したという。

 判決によると、被告は17年4月28日午後7時ごろ、店舗2階でしちりんの火が排気ダクトの脂に引火して天井のよしずに燃え広がる火災を起こし、会社員男性を一酸化炭素中毒で死亡させ、別の男性=当時(27)=に全治1年5カ月のやけどを負わせた。

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