高齢者らの手脚の震え 群馬大大学院研究グループが原因解明
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 高齢者らの手脚が無意識に震える症状について、群馬大大学院医学系研究科の定方哲史准教授と細井延武講師の研究グループは11日までに、世界で初めて原因を解明したと発表した。小脳から運動に関する電気信号を送る神経細胞の突起部分で、タンパク質の一種が失われることが原因とした。無意識の震えは、65歳以上の7人に1人に見られる症状。震えを抑えられれば、高齢者らの就労継続などの一助になるとして、根本的な治療法の開発を進める。

◎アルコール依存症や緊張時の震えも解明目指す
 老化に伴い顕著になりがちな震えの症状「本態性振戦」を研究した。グループによると、65歳以上の14%に症状が見られ、高齢者が働き続ける上で、職種によっては大きな障害になっている。

 研究では、細胞内でタンパク質の輸送に関わる「クラスⅡ アーフタンパク質」を作れないマウスを用意して観察。このマウスは起きている時だけ常に首や前脚が強く震えた。詳しく調べたところ、小脳から神経細胞が送り出す電気信号が弱まっているという異常を確認した。

 電気信号が弱まったのは、神経細胞から次の神経細胞に伸びて信号を伝える突起の付け根部分で、細胞外からナトリウムイオンを取り込むタンパク質の一つ「Nav(ナブ)1.6」が失われていたことが原因と判明。このため、Nav1.6の欠損によってナトリウムイオンを基にした信号が極端に弱まり、運動の制御が困難になったと結論付けた。

 これまで症状の治療は薬による対症療法だったという。定方准教授は「老化でNav1.6が失われているとも考えられる。根本的な治療法の開発も試みたい」とする。アルコール依存症や体が緊張した状態でも同様の震えがあり、今後、仕組みの解明を目指す。

 研究成果は、12日に北米神経科学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」のオンライン速報版に掲載される予定。

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