独自技術の制御装置実証へ 群馬高専の衛星がJAXAロケットに搭載
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衛星開発スタッフの学生と平社准教授(後列左)
JAXAのイプシロンロケットに搭載されるKOSEN-1

 群馬高専の研究チームが考案した姿勢制御技術を用いた超小型衛星が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「イプシロンロケット」に搭載され、宇宙空間に放出されることになった。超小型の制御装置の性能を実証するのが目的で、成功すれば宇宙ビジネスへの活用も期待される。開発メンバー14人はロケットの打ち上げに向け、衛星の完成を急いでいる。

◎全国の高専と連携、打ち上げ実現すれば史上初
 製作中の衛星は、本体が高さ22センチ、幅と奥行きが各10センチの直方体。小惑星探査機「はやぶさ2」の10分の1ほどの大きさで、衛星としては最も小型の部類に含まれる。2014年に高知高専と研究を始め、昨年12月にJAXAが公募する革新的衛星技術実証テーマに採用された。

 現在は2校を中心に、全国10の高専が連携して開発に当たっている。高専が連携して製作する超小型衛星が打ち上げられるのは史上初となる。衛星は高専連携衛星1号機(KOSEN-1)と名付けられた。

 KOSEN-1が実証を目指すのは、群馬高専が考案した「姿勢制御技術」や「7メートル級アンテナの展開技術」など。特に超小型衛星用の姿勢制御技術は、さまざまな機関が開発を進めてきた注目の技術で、成功すれば「今後の宇宙ビジネスに大いに貢献できる」と機械工学科の平社ひらこそ信人准教授は説明する。

 衛星には、姿勢を制御する装置「リアクションホイール」が搭載されるが、この装置を超小型衛星に搭載するため、平社准教授が「ホイールを二つの小さいホイールに分けて小型化する」ことを思いつき、学生と開発を進めてきた。開発により、ホイールは従来より薄く、3分の1程度の大きさになるという。

◎試作機は市販の材料で低価格に
 ロケットの発射時期は未定だが、打ち上げ後、衛星を地球の表面から高度約500キロの軌道に乗せ、日本の上空に来るタイミングで姿勢制御の性能を実験する計画となっている。理論上の技術実験は成功しており、次は実物大の試作機を用いた実験段階に進む。

 姿勢制御系を担当するのは機械工学科5年の菊池啓亮さんと同専攻科1年の小渕宗士朗さんで、小渕さんは「アイデアはJAXA側も面白いと認めてくれている。開発を成功させたい」と意気込む。

 衛星の材料は大半が市販品。大型衛星の100分の1以下の費用で製作する。平社准教授は「難しいとされていた超小型衛星での高精度な姿勢制御が、より安価に製作できるようになれば、大型の衛星では観測しきれなかったさまざまなものが観測可能になる」と成果に期待を寄せている。

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