《部活が変わる 吹奏楽部は今(3)》生徒の意見を第一に
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
県吹奏楽コンクールに向けて練習する富岡高吹奏楽部。高校統合を機に、外部指導者の導入や生徒主体の運営などの改革を進めた

■外部指導者
 群馬県の部活動運営指針で「週休2日以上」など活動時間短縮の徹底が求められている中学に対し、おおむね各校の判断に委ねられている高校。その中で、外部指導者の導入や生徒主体の運営といった独自の改革で成果を上げつつあるのが富岡高吹奏楽部だ。

 きっかけは昨年4月、男子校の富岡と女子校の富岡東の統合・共学化だった。富岡東には吹奏楽部がなかったため、統合に先立つ2017年4月に創部し、両校部員が翌年に合流する形でスタートを切った。顧問に就いた茂木孝浩教諭に演奏の指導経験はない。技術面の指導は、外部から招いた経験者2人が担う。

 外部指導者が訪れるのは週2日と大会などの本番前。普段は生徒のみの練習が多い。そこで、生徒が合奏を仕切る「学指揮」制度をつくり、練習メニューは自分たちで考えて工夫する。3年の山口智恵美部長は「最初は大変だったが、部員全体で『こういう練習をしよう』と積極的に言い合えるようになった」と受け止める。

 部員は昨年の27人から40人に急増。部内で話し合った結果、今年の県吹奏楽コンクールは大編成のA部門で出場することにした。存在感が高まり、地域からの演奏依頼も増えてきた。茂木教諭は「特殊な事情が重なった上での新しい試みだが、昨年から一人も退部していないのは誇れる点」と胸を張る。

■透明性高めて
 ただ、富岡高のモデルを他校や中学が取り入れられるか。取り入れても、適切な運営につなげられるかは未知数だ。同校外部指導者の1人、矢島正さん(65)は「まだ実験的な取り組みが始まったばかり。成功例になるかは分からない。その学校に合ったやり方を手探りするしかないだろう」と指摘する。

 矢島さんは 昨年度まで県吹奏楽連盟会長を務め、吹奏楽部の 在り方検討委員会の 設置を主導した。演奏レベルが 低下したり活動の幅が縮小したりする懸念を内包する改革を推し進める中で、目標設定に当たっては「生徒ファーストであるべきだ」との持論を掲げてきた。「生徒の意見を聞き、実践し、評価するサイクルが大事」と強調する。

 検討委がまとめた提言を受け、連盟自体も大会運営の効率化を今まで以上に進めるほか、短時間で効果を上げる練習を目的とした指導者育成マニュアルの作成を始める。当事者それぞれが提言の趣旨を踏まえ、活動の透明性を高めていくことが、国のガイドラインで繰り返し強調されている「持続可能な部活」への一歩になるはずだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事