鎮魂の思い 灯籠に 日航機事故 きょう34年
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犠牲者への言葉や空の安全を願うメッセージを書いた灯籠を川面に浮かべる遺族ら=11日午後6時50分ごろ、上野村

 520人が死亡した日航ジャンボ機墜落事故から12日で34年となるのを前に、遺族らは11日夕、墜落現場「御巣鷹の尾根」の麓を流れる群馬県上野村の神流川で灯籠流しを行い、犠牲者を悼んだ。空の安全と事故の再発防止を祈り、淡い光を放ちながら川面を流れる灯籠を見つめて手を合わせた。

 遺族らは約300個の灯籠に「悲しい事故が二度と起きませんように」「天国で見守っていてください」など、亡くなった家族へのメッセージや安全への願いを書き込んだ。アコーディオンやオカリナの演奏が流れる中、川面に浮かべ、故人をしのんだ。

 遺族でつくる「8・12連絡会」やボランティア団体「ふじおか・おすたかふれあいの会」が行った。東日本大震災や御嶽山噴火などの犠牲者の遺族も参加し、悲しみを分かち合った。

 連絡会事務局長で、次男の健君=当時(9)=を亡くした美谷島邦子さん(72)は式典で「空の安全を守っていくため、明日を生きる次世代の子どもたちに命の大切さや事故のことを伝えていきたい」と語った。

 12日は早朝から遺族や日航幹部らが慰霊登山し、夕方には上野村楢原の「慰霊の園」で追悼慰霊式が営まれる。

◎遺族の悲しみ 今も… 安全 水面の光に願う

 「これからも見守って」「痛ましい事故がなくなるように」―。日航ジャンボ機墜落事故で亡くなった520人をしのぶ灯籠流しが行われた11日、上野村の神流川河川敷には大勢の遺族や関係者が訪れた。事故を風化させまいと、安全な空の実現への願いを込めた灯籠を水面に浮かべた。

 「これからも3人で来られるように見守っていてください」。会社員の小沢秀明さん(33)=神戸市=は亡くなった父の孝之さん=当時(29)=に向け、灯籠に書き込んだ。昨年6月に裕美さん(33)と結婚し、母の紀美さん(63)と共に3人で上野村を訪れるようになった。秀明さんは父の年齢を超え、夫という立場になり、「これからは父が見られなかった景色を家族全員で見ていきたい」と力強く語った。

 パートナーを亡くした英国人遺族のスーザン・ベイリー・湯川さん(61)は灯籠に「今もあなたを待っています。私は真実と正義を求めていきます」などと英語で書き、川に浮かべると涙を流した。

 事故から34年を迎え、安全への思いを次世代に引き継ごうとする人も。東京都東久留米市の小山裕子さん(65)は、妹の山口静子さん=当時(32)=の一家4人を失った。80代後半まで御巣鷹の尾根に登り続けていた両親は3年ほど前に他界。妹家族への慰霊の思いを受け継ぎたいと考え、夫や事故後に生まれた息子らと上野村に毎年訪れている。「若く、これからだった家族の生活が一瞬で失われた。痛ましい事故がなくなってほしい」

 灯籠流しには日航機事故の遺族に加え、全国各地で起きた事故や災害で大切な人を失った人たちの姿も見られた。

 161人が犠牲となった1963年の旧国鉄鶴見事故の遺族は今回初めて参加。父の義一さん=当時(28)=を事故で亡くした武井浩さん(57)=茨城県=は「日航機事故の犠牲者の冥福を祈るとともに、二度と同じ事故を繰り返させないようにしたい」と話す。東日本大震災遺族の一人、田村孝行さん(59)は「人の命の大切さをあらためて考え、遺族という存在を生まない社会になるよう発信していきたい」と語った。

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