外国人観光客 マナー懸念は8市町村に 自治体アンケートで判明
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 増加する外国人旅行者について、群馬県内は中之条町でマナー違反の事例が確認されているほか、前橋など8市町村が今後何らかの問題が起きると懸念していることが、共同通信の自治体アンケートで分かった。県内市町村の26%に当たり、懸念材料は騒音や混雑、災害時の避難誘導など幅広い。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に向け、各市町村は一層の対策を迫られそうだ。

 中之条町の事例は昨年夏に発生。町によると、四万川にある観光スポット「四万の甌穴おうけつ群」(県天然記念物)近くの町管理駐車場で、禁止されているバーベキューをして騒ぐ事例が複数あった。

 町は英語でルールを知らせる表示を設置し、その後トラブルは起きていない。担当者は「文化の違いはあるが、理解を得られるよう周知していく」としている。

 問題を懸念しているのは前橋のほか桐生、館林、渋川、草津、川場、みなかみ、千代田の各市町村。前橋市は「花の時季やイベント時に2次交通や駐車場不足が想定される」とした。

 8市町村に具体的な懸念事項(三つまで選択)を尋ねたところ、「多言語対応の遅れに伴うトラブル」「災害時の情報提供、避難誘導体制」を各3自治体が選んだ。「公共交通の混雑や交通渋滞」「住宅地での騒音やごみ投棄、公衆トイレの使い方などマナーの問題」などもあった。

 外国人旅行者が多いみなかみ町は災害対応を挙げた。町は昨年度、地域防災計画に観光客の避難体制整備の必要性を盛り込むなど、対策を始めている。

 一方、17市町村(49%)は、問題が起きる懸念がないとした。「特筆すべき観光資源や宿泊施設がない」(邑楽町)などが理由だった。アンケートは県も回答し、懸念事項としてイスラム教の「ハラル」をはじめ宗教上のタブーへの対応を指摘した。

 調査は5~7月に実施し、県内は神流町を除く34市町村と県が答えた。全国で問題が起きているのは九州・沖縄、西日本のクルーズ船寄港地、東京都心部が目立った。今後の問題を懸念しているのは全体の27%に当たる465市区町村だった。

◎観光と生活 両立課題
 訪日客トラブルに関するアンケートでは、自治体が外国人客の円滑な受け入れや住民生活への影響に対する懸念を抱えている実態が明らかになった。外国人を含む観光誘致は地域活性化の重要なツールであり、落ち着いた生活環境との両立が今後の課題となる。

 政府は成長戦略の一環として「観光立国」を掲げ、2020年の訪日客4千万人達成に向けた環境整備を進めてきた。ただその主眼は入国査証(ビザ)の発給緩和や無料Wi-Fiなど「快適な旅行」の実現で、住民生活への目配りは乏しいのが現状だ。

 東京五輪・パラリンピック期間中に訪日客が急増すれば、十分な準備が整っていない地域にも、多くの外国人客が訪れる可能性がある。既に多くの外国人客を受け入れている地域のノウハウを共有する仕組みなどの検討が必要となりそうだ。

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