前橋空襲伝えるあたご歴史資料館 閉館を検討 高齢化や財源不足
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資料館内を案内するスタッフ(右)

 前橋空襲の悲惨さや戦時中の暮らしを伝える前橋市住吉町二丁目の「あたご歴史資料館」が来年3月の閉館を検討している。地元自治会が運営する全国でも珍しい資料館だが、住民の高齢化や財源不足で継続が難しくなったという。関係者からは惜しむ声が上がっている。

◎一つ一つに市民の思い 「受け継ぎたい」
 同館周辺は530人余りの犠牲者を出した1945年8月5日の前橋空襲で、多くの被害を受けた。戦争の悲惨さや平和の大切さを語り継ごうと、同町が市の建物を無償で借り受け、2012年に資料館を開館した。

 日章旗や防空頭巾など資料約100点を展示。市内外の多くの見学者を受け入れてきた。運営は自治会費で賄っているが、光熱費などの負担は重いという。住民の高齢化も進み、開館は当初の週3日から土曜だけになった。自治会長の柿沼孝さん(79)は「一つの自治会だけで続けていくのは苦しい」と打ち明ける。

 前橋空襲を経験した同館の学芸員、原田恒弘さん(81)は「住民みんなで作り上げた資料館。平和の大切さを訴える場として、一定の役目は果たせたかな」と振り返る。一方で、市民から譲り受けた資料も多く、「一つ一つの資料に思いがある。行政と相談し、次世代に受け継ぎたいと考えている。語り部としての活動は体が続く限り頑張りたい」と語った。

 群馬県内で戦争を知る世代が若者に思いを伝える場は太田市にもある。4月に「太田市平和祈念館」(同市下浜田町)を開館した「戦争を語り継ぐ会」の新島敏明代表(77)は「せっかくの資料館なのでもったいない。メンバーの高齢化は私たちと同じ課題だ」と残念がった。

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