沈みゆく景色 記憶に 八ツ場ダム試験湛水前 予定地最後のツアー
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ダム本体を間近に見上げる参加者

 本年度に完成を控える群馬県の八ツ場ダム(長野原町)の湛水たんすい予定地を歩く「八ツ場ダム・エコツアー」が15日、道の駅「八ツ場ふるさと館」を発着点に開かれた。ダムに水をためて安全性を確認する試験湛水を前に、県内外から参加した34人が貴重な風景を目に焼き付けた。

◎県内外の34人が参加 「さまざまな思いがありダム完成」
 来月上旬に試験湛水が始まることから、湖底に沈む場所を歩く最後の機会となった。国土交通省八ツ場ダム工事事務所の許可を得て、吾妻川流域の湛水予定地と周辺の約10キロを休憩含め5時間半かけて歩き、ダム本体を間近に見上げた。

 同省職員と地元関係者がガイドとして同行し、ダムの機能や工事状況、水没地区の歴史・文化などを紹介。代替地に移転したJR川原湯温泉駅と温泉街を結ぶ町道川原湯温泉幹線街路の建設現場を見学し、水没する旧長野原第一小の跡地も巡った。

 多田悦子さん(70)=茨城県牛久市=と柳沢和香那さん(41)=吉岡町上野田=は親子で参加した。「美しい自然や故郷を失う地元の方々のさまざまな思いがあってダムが完成することが分かった」と口をそろえ、「さみしい気持ちもあるが、今後はダムができて良かったと思えるような、人が集う観光地になってほしい」と期待を込めた。

 ガイドを務めた地元出身の浦野安孫さん(70)=前橋市高井町=は「普段入れない場所で、橋や滝など懐かしい風景を確認できて良かった。八ツ場の歴史の中で失われてしまう部分にも思いをはせてほしい」と話した。

 国が無料で実施してきたダム工事現場見学会「やんばツアーズ」は、今月末で終了する。今後は同道の駅が発着点となるエコツアーに加え、来月から長野原観光協会も見学会を開始し、地元主体の有料ツアーに引き継がれる。道の駅では、近くの王城山や吾妻渓谷の紅葉を楽しむツアーを用意している。

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