豚コレラ 埼玉2件目で県内農家に不安 「ワクチン 一刻も早く」
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藤岡市内の農家の車を消毒する県職員=午後2時ごろ、藤岡市内
 

 埼玉県で2例目となるとんコレラの発生が確認された17日、群馬県内では養豚農家や養豚場を抱える複数の自治体が、国や県に対して豚へのワクチン接種を早期に検討するよう要望した。農林水産省は風評被害や輸出への懸念を理由にワクチン使用に慎重姿勢を貫いているが、群馬、埼玉県境まで感染が迫った状況に、県内の養豚関係者の不安は日ごとに高まっている。

 17日に山本龍市長らと県庁を訪れ、ワクチン接種を山本一太知事に要望したJA前橋市養豚部会長の上野実さんは「殺処分だけはどうしても止めたい」と繰り返し訴え、最悪の事態を回避するための方策を行政に求めた。

 前橋市農政課によると、市内に約80カ所ある養豚場は赤城山南面の富士見、宮城の両地区の10キロ圏内に集中している。仮に市内の養豚場で豚コレラが発生した場合、発生農場から10キロ以内に搬出制限の対象区域が設定されることから、「TONTONのまち」を掲げる同市の養豚業への甚大な被害が予想される。

 「一刻も早くワクチン接種を認めてほしいし、打ちたい。もうその段階にきている」。藤岡市内の2カ所で約2500頭の豚を飼育している折茂高弘さん(46)も切実な思いを口にする。県南部に位置する同市で養豚業を営む折茂さんにとって、埼玉県秩父市、小鹿野町で相次いで確認された豚コレラは、すでに対岸の火事では済まない状況になっている。

 豚へのワクチン接種の是非を巡っては、発生県を中心に議論が続いている。

 接種によって豚コレラへの抵抗力が付けば、養豚農家にとっては発生の不安が小さくなるが、効果には個体差があり、接種しても感染する豚が出てくる可能性がある。国際機関が豚コレラの撲滅状態にあると認定する「清浄国」への復帰に短くとも数年単位の時間がかかるとされ、農水省は輸出への悪影響を懸念する。

 ただ、渋川市の養豚農家の男性は「時間がたっても病気がなくならなければ、どのみち非清浄国となる。国には早く豚にワクチンを打てる状況をつくってもらいたい」と話す。

 県は豚肉の輸出実績については「把握していない」としている。畜産課は「ワクチン接種のデメリットについては現在さまざまな角度で精査している」としている。

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