《ぐるっと点検ぐんま》高齢者の免許返納 支援拡大 21市町村
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 ブレーキとアクセルの踏み間違いや高速道路での逆走などによる高齢ドライバーの事故が相次ぐ中、高齢者が運転免許証を自主返納しやすい環境づくりが広がっている。群馬県交通政策課によると、県内では21市町村がタクシー券の配布や運転経歴証明書の発行手数料を助成するなど、移動手段や経済的な支援を実施。自治体に加え、民間企業も飲食代や入浴施設の利用料の割引といったサービスを通じ、車を手放した高齢者が生活しやすいよう手助けする。

 自主返納は1998年の道交法改正により、身体機能の低下などで運転しなくなった人が自身の意思で免許証を返納できるようにした任意制度。県内では2009年4月、桐生市のバス定期券の交付を皮切りに返納支援が広がった。バスやタクシーの利用券は館林、渋川など15市町村が配布。免許証に代わり、県公安委員会が希望者に作成する運転経歴証明書の発行手数料(千円)の助成は10市町村。助成金や商品券の交付は5町村。千代田町は電動車いすの購入費(最大12万円)の補助などを行う。

■想定超える
 前橋市は返納者にバスカードを配り、運転経歴証明書の発行手数料を支援。昨年1月には返納者を含む交通弱者がタクシー利用時に運賃の一部を助成する「マイタク」事業も始め、移動支援を充実させた。返納者は年々増え、昨年度は1100人が制度を利用した。

 榛東村は4月から65歳以上の返納者に助成金1万円の支給を始めた。管轄する渋川署で返納した村の高齢者は昨年11人だったが、支援開始から急増し、今年は10月末までに4倍の42人に達した。村総務課は「想定を超える返納者がおり、今後も支援を続けたい」としている。東吾妻町は①町の商品券1万円分②バスカード約1万3千円相当のいずれかを65歳以上の返納者が選択できるようにして地元の経済活性化を目指す。

■民間が協賛
 高崎市は65歳以上の返納者にバスカードなどを交付。9月からは民間企業を巻き込み、運転経歴証明書の提示で衣料品店や入浴施設などで特典を受けられる「自主返納者サポート制度」を導入した。1割引きする飲食店、観光ツアーを値引きする旅行代理店など60店舗以上が協賛している。

 県内の私鉄3社も、運転経歴証明書を提示した高齢者の運賃を半額にして外出を支援する。

 運転に不安を覚えた前橋市元総社町の堀内大さん(77)は9月に免許証を自主返納した。1人暮らしだが、返納はためらわなかったという。「通院は家族の送迎やマイタクを使う。生活も慣れれば不便さを感じなくなる」と話す。
(藤田賢)


10月末で4731人 年間最多を更新
 県内の高齢者(65歳以上)の運転免許証の自主返納は近年、急増している。県警運転免許課によると、返納制度が始まった1998年は16人だったが、2014年2486人、15年3318人、16年4482人。今年は10月末時点で4731人と、年間ベースで過去最多だ。

 前橋署は9月、管内の老人会「元総社町蒼海クラブ」を自主返納のモデル地区に指定。警察官や医師らが返納後の生活について紹介したり、運転適性検査などを受けてもらって返納者を掘り起こし、同クラブの4人が返納した。12月には同市の南橘地区もモデル地区に指定する。

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