《八ツ場新時代》見学ツアー ダム完成後も魅力の発信を
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語り部の思いを聞きながらダム見学する「語り部ツアー」

 「この風景は数カ月後には見えなくなってしまいます。よく目に焼き付けてください」。群馬県の八ツ場ダムの完成まで1年を切った5月の週末、約20人を乗せたバスの車内に女性ガイドの声が響いた。車窓には砂地が広がり、赤茶色にさびた鉄橋や崩れかけたアスファルトの路面が見える。参加者は「みんな沈んじゃうんだ」「さみしいね」などとつぶやきながら見つめていた。

■ツアー参加者は右肩上がり
 八ツ場ダムの“湖底”を巡るこのバスツアーは、国土交通省が2017年度から展開しているダム工事現場見学会「やんばツアーズ」の一環。参加費無料で多彩な企画を楽しめるとあって人気を呼び、16年度に約2800人だった見学者は右肩上がりに増え、18年度は20倍の約5万5000人に上った。だが、ダムのPRと地域活性化に一役買ったやんばツアーズは、当初予定通り今月末で終了する。

 インフラツーリズムで今後も地域を盛り上げていこうと、地元には有料ツアーを企画する動きが広がっている。数年前からダム建設予定地の周辺を巡るバスツアーを実施している道の駅八ツ場ふるさと館に加え、7月に地元住民の有志でつくる「チームやんば」が独自のツアーを開始。10月からは長野原観光協会が国交省のやんばツアーズの一部を引き継ぐ形で始める。

■住民が語り部 地元の歴史伝える
 チームやんばのツアーは、ダム湖に沈む旧川原湯温泉街について地元住民が「語り部」として体験談を交えて説明するという内容。語り部を務める樋田ふさ子さん(90)は「観光客だけでなく地元の若い人にもダムの歴史を伝えたい。若い人の力で元気な温泉街が戻ってくれば」と期待を込める。

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