《八ツ場新時代》吾妻峡 自治体の枠超えて周遊
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
東吾妻町が吾妻峡周辺で試験運行する自転車型トロッコ

 フレームで一体化された2台の自転車がレールをガタンゴトンと音を立ててゆっくりと進む。8月上旬に吾妻峡近くの旧JR吾妻線で開かれた自転車型トロッコの試験運行会。2日間合わせて約130人の参加者は強い日差しの中、「関東の耶馬渓」と称される国名勝の周囲に広がる田園風景を車上から楽しんだ。

■トロッコで廃線を走る
 八ツ場ダムの周遊観光の目玉にしようと、群馬県東吾妻町は来春から、関東初の“廃線を走れる自転車型トロッコ”を運行する。田園コース(0.8キロ)と、「日本一短い鉄道トンネル」だった樽沢トンネル(7.2メートル)が含まれる渓谷コース(2.5キロ)を設ける。担当者は「八ツ場ダムの知名度は高く、吾妻峡を売り込むチャンス」と期待する。

 東吾妻、長野原両町にまたがる吾妻峡は、真田氏ゆかりの岩櫃山と並ぶ東吾妻の観光名所。紅葉シーズンは最寄りのJR岩島駅からシャトルバスが運行し、2カ所ある駐車場がすぐに満車となるほどだ。ダム完成後に長野原側の約4分の1が水没するが、東吾妻側は川幅が狭い延長約900メートルの「八丁暗がり」をはじめ多くの景勝地が残る。

 「岩櫃城跡が国指定史跡となる見込みで、吾妻峡もダム完成が追い風となる。これからはこうした要素をどう生かすか」と東吾妻町観光協会の武藤賢一事務局長。岩櫃山と吾妻峡を巡る周遊ルートの確立や、道の駅あがつま峡など町内施設に誘客する仕組みづくりが必要だと指摘する。

■2町の連携で観光をPR
 ダム堤体にエレベーターが設置され、上流側と下流側を行き来できるようになることは、自治体の枠を超えた広域の周遊観光の追い風になる。東吾妻、長野原両町の観光関係者がJR大宮駅で八ツ場地域をPRするキャンペーンを手掛けたが、今後はより一層の連携が求められる。

 ダムを挟んだ上下流地域でレンタルサイクル事業を実施する案が浮上しているが、現時点では具体化していない。東吾妻町まちづくり推進課の武井幸二課長は「これから長野原町と協議し、貴重な観光資源を両町でうまく生かせるようにしたい」と話す。

 長野原町林地区出身で吾妻峡についての著書もある浦野安孫さん(71)=前橋市高井町=は「観光に市町村の境はない。自治体の枠を超え、ダム湖と渓谷を組み合わることでより魅力的な観光地になるはず」と期待する。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事