台風19号 全国21河川で決壊 35人死亡 17人不明
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吾妻川に崩落した国道144号。濁流は近くの自動車整備工場や資材置き場ものみ込んだ=13日午前11時35分ごろ撮影、嬬恋村
土砂崩れが発生した現場で、安否不明者を捜索する消防隊員ら=13日午前8時45分ごろ、富岡市内匠
土砂が流れ込んで家屋が崩壊した現場=13日午前9時15分ごろ、藤岡市上日野

 東日本に猛烈な雨を降らせた台風19号により、各地で大規模な洪水被害や土砂災害が発生し、共同通信の集計では13日までに11県で35人が死亡、17人が行方不明となった。県内では土砂崩れにより、富岡市で安否不明だった2人と藤岡市で1人の死亡が確認され、死者は計4人となった。長野県の千曲川など全国21河川の24カ所で堤防が決壊、住宅地などをのみ込む大規模な洪水被害が各地で発生した。県人口の3割を超える68万4千人を対象に避難指示や勧告などが出され、13日午前0時時点で県内444カ所の避難所に2万6千人以上が避難し、不安な一夜を過ごした。太田市下田島町の石田川が13日午前0時ごろに氾濫し、周辺で浸水被害が相次いだ。10河川の16観測所が氾濫危険水位に達した。

 富岡市内匠で発生した土砂崩れの現場では同日午前、安否不明だった男女2人が救出されたが、死亡が確認された。藤岡市上日野では同日朝、土砂崩れの現場を捜索していた警察と消防が男性1人を発見し、死亡を確認した。

 嬬恋村では国道144号が崩落し、同村大笹で23人が13日朝まで孤立状態となった。同村鹿沢温泉の宿泊施設「休暇村嬬恋鹿沢」では、周辺の道路が土砂などで寸断され、宿泊客ら計72人が現在も孤立している。県から災害派遣要請を受けた自衛隊は同村など3市村で救助活動や物資輸送に当たった。

 前橋地方気象台によると、降り始めから48時間の総雨量は最も多い西野牧(下仁田)が496.5ミリ、神流465ミリ、田代(嬬恋)が442ミリ。西野牧など3地点は観測史上最大の雨量を記録した。

 高速道は一部通行止めとなっていた関越道と北関東道が13日午前に全線開通したが、上信越道は松井田妙義IC―佐久ICで通行止めが続く。鉄道はJR吾妻線の長野原草津口―大前間が土砂の流入などにより、運転再開の見通しが立っていない。倒木などで同日午後6時現在、藤岡、甘楽、嬬恋、東吾妻の4市町村の計2100軒では停電が続いている。

 県は13日午前10時に災害対策本部の第2回会議を開催。山本一太知事は市町村への積極的な支援を指示し、「一刻も早いライフライン復旧と避難者の解消に向けて取り組んでいく」と述べた。

◎土砂崩れ4人犠牲 富岡と藤岡
 台風19号の激しい風雨から一夜明けた13日、県内各地で被害状況の確認が進められた。山間部を中心に土砂崩れが発生し、富岡市と藤岡市では計4人が犠牲になった。倒木などで道路やライフラインが寸断され、嬬恋村などの一部地域では住民らが孤立状態となっている。停電や断水の影響を受けている地域もあり、県民生活の混乱は続きそうだ。

 土砂崩れが起きて住宅が倒壊した富岡市内匠と藤岡市上日野の両地域では、13日早朝から捜索活動が進められた。発見された計4人が亡くなる事態となり、犠牲者を知る人からは深い悲しみの声が聞かれた。

 裏山が崩れて2棟が全壊した富岡市内匠の現場。13日午前7時前から不明となっている2人の捜索が再開された。周辺住民が不安そうな表情で見守る中、県警や消防、自衛隊の約100人が手掘りや重機で土砂を取り除いた。

 現場には、全壊して木材がむき出しになった民家のほか、土砂で埋もれた住宅や車が見られた。家具なども散乱し、捜索活動は手掘りから搬送までに3~4時間かかった。現場から50代男性と70代女性の親子とみられる2人が見つかり、いずれも死亡が確認された。

 近くに住み、自宅と車が被災した会社員、荻原栄一さん(54)は「いきなりドーンという音が聞こえ、5~10分後にはさらに大きな音がして土砂が大量に流れてきた」と声を震わせた。同じく近くに住む新井誠一さん(78)は、車で逃げようとしたが土砂で門が開けられず、避難所まで歩いた。「不安で夜も眠れず、食事ものどを通らなかった」

 藤岡市上日野の現場では13日午前6時から警察と消防が捜索活動を始め、約30分後に行方不明だった男性を見つけた。親族の一人は「昔は林業をやっていて、最近は一人で静かに暮らしていた。非常に残念」と肩を落とした。

 富岡市内匠の土砂崩れ現場は県の土砂災害警戒区域に指定されておらず、市は当時、避難勧告を出していなかった。一方、藤岡市上日野の現場は同区域に指定され、避難勧告が出ていた。

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