《台風19号》復旧へ各地で闘い 崩落、浸水、土砂…対応追われる
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崩落した御巣鷹の尾根へ向かう道路=14日午後3時10分ごろ
線路上に土砂や倒木が流入し、運行できなくなったJR吾妻線=15日午後1時40分ごろ、嬬恋村のJR万座・鹿沢口駅付近

 台風19号で大きな被害を受けた群馬県内で15日、住民は浸水した家屋の片付けや清掃などの復旧作業に追われた。上野村では日航ジャンボ機墜落事故現場「御巣鷹の尾根」へ向かう村道が崩落。JR吾妻線や両毛線はまだ運転を再開していない区間もあり、台風被害が県民生活に影を落としている。

《崩落》御巣鷹の尾根 向かう道路 不通に
 日航ジャンボ機墜落事故現場の「御巣鷹の尾根」(上野村楢原)へ向かう道路の複数箇所が崩落していることが分かった。復旧には時間がかかると見込まれ、村は「来年8月の慰霊登山に間に合うか分からない」としている。

 村によると、尾根へ向かう村道の「大神楽1号トンネル」と「大神楽2号トンネル」の間で5メートルほど道路が陥落。ほかにも数カ所で土砂崩れがあった。尾根の旧登山道入り口付近の駐車場には膝の高さほどの土砂がたまり、登山道の様子は確認できていない。

 村道には1メートル以上の岩が転がっている部分があり、車両が進めない状況。尾根の管理人、黒沢完一さんは「遺族のことを思うと残念。すぐにでも確認に行きたい。早く復旧してほしい」と切望した。

《浸水被害》家財が水に漬かりトイレ、風呂使えず
 浸水被害の相次いだ太田市沢野地区では住民が片付けに追われた。同市牛沢町内の災害ごみの仮置き場にはぬれて使えなくなった家電製品やたんす、畳などが積み上げられた。

 ごみを捨てにきた70代女性の自宅は床上浸水した。「畳は水を吸って重く、運ぶのに一苦労。思い入れのある服や孫の写真もぐちゃぐちゃになり、捨てるしかない」と声を落とした。水が引いた今もトイレや風呂が使えないという。

 同市高林南町の男性会社員(31)は12日夜、市内の親戚宅に避難した。13日朝に帰宅すると自宅内の水は引いていたが、床から約1メートルの高さに泥水の筋が残っていた。床一面に乾いた砂がこびりつき、冷蔵庫は倒れ、ベッドが動いていた。「家は2月に完成したばかり。改修するしかない。ここまで被害が出るとは思わなかった」と話した。

 嬬恋村鹿沢温泉の「休暇村嬬恋鹿沢」では宿泊客56人と従業員20人が12日夜から孤立状態となっていたが、14日夕に道路が開通、孤立が解消した。停電が続いているが、施設が発電機を使い、食事やシャワーを提供。宿泊客は帰途に就いた。

《鉄道・学校》JR吾妻線 土砂で運転見合わせ
 JR東日本高崎支社によると、JR吾妻線は線路内への土砂流入のため、長野原草津口―大前間で運転を当面見合わせる。中之条―長野原草津口間は16日に再開する見通し。両毛線は足利以西は再開したが、大平下―栃木間で永野川に架かる橋の下の堤防の一部が流されたため、岩舟―栃木間の運転再開に少なくとも1カ月かかるとみられる。

 県境を越えて通学する生徒が多い桐生大附属中・桐生第一高(桐生市)は16日以降、当面の間、栃木県佐野市などから同校までスクールバスを臨時運行する。佐野日本大高(佐野市)は15~18日を自宅学習とし、その後は東武館林、JR足利、小山の計3駅からのスクールバスを増やして対応する。

◎八ツ場ダムが満水に 12月上旬に試験湛水完了
 水をためて安全性を確認する試験湛水たんすい中の八ツ場ダム(長野原町)について、国土交通省八ツ場ダム工事事務所は15日、常時満水位(標高583メートル)となり、貯水率が100%に達したと発表した。満水状態を約1日継続した後、2カ月弱かけて最低水位(同536.3メートル)まで下げる。台風19号による大雨で、想定よりも早く水がたまったため、順調に進めば年内にも試験湛水が完了する見通しとなった。

 今月1日から始まった試験湛水は、水位を上下させて堤体や貯水池周辺の安全性を確認する。当初は半年程度かけて年度内に終える予定だったが、地滑りなど異変が確認されなければ、12月上旬ごろに完了する。

 同事務所によると、台風19号の大雨に伴い、貯水池の水位は急上昇。12日(午前9時時点)は522.7メートルだったが、13日(同)には50メートル程度上昇し575.4メートルとなった。満水位に近づいたことから、同日午後4時から水位維持のための放流を開始した。水位の急激な上昇に伴う異常は、現時点で確認されていない。

 ダム本体は建屋などの工事が残っており、年度末を完成予定とするスケジュールは変わらないという。

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