台風19号で道路寸断 営業困難 霧積温泉の金湯館
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情緒ある一軒宿としてファンが多い金湯館
路肩が崩落した県道北軽井沢松井田線(県提供)n

 記録的な大雨をもたらした台風19号の影響で、霧積温泉の一軒宿、金湯館きんとうかん(群馬県安中市松井田町坂本)へ向かう唯一の県道が寸断し、宿泊客を受け入れられない状況になっている。県によると、復旧には数カ月かかる見通しで、老舗旅館が窮地に立たされている。4代目の佐藤淳さん(48)は「いつ通常営業できるか分からないが、何とか旅館を守りたい」と話している。

◎老舗の宿窮地 4代目「いつ営業できるか…」

 佐藤さんによると、台風が直撃した12日の大雨で、旅館へ向かう県道北軽井沢松井田線の一部で路肩が崩落し、車両や通行人が通れない状況だという。建物に大きな被害はなかったが、予約客には、登山道以外では宿に到達できないため宿泊は難しい旨を連絡している。

 佐藤さん一家3人は、県の許可を得て、現場を歩いて下山することは可能だが、車での通行はできない。現在は、旅館に残って土砂を取り除くなどの復旧作業を行っている。台風の前に食料などを仕入れていたため備蓄はあるが、この状況が長引くと心配だという。

 県安中土木事務所によると、復旧作業の準備を急ピッチで進めているが、寸断された道路の復旧には時間がかかりそうだという。山側の擁壁にも倒壊の恐れが生じている。

 今週末にかけて降雨が見込まれているため、佐藤さんは「今度の雨でさらに被害を広げてしまうのではないか」と不安を募らせている。紅葉の見頃となる書き入れ時だけに、収入が途絶えることへの懸念も強い。それでも「伝統あるこの旅館を自分たちの代で閉じたくない」と前を向く。

 妻で若女将の知美さん(48)は「一日も早く復旧し、いつもの生活に戻りたい。会員制交流サイト(SNS)などを通じて届く温かい言葉に励まされている」と話している。

 同旅館は1884(明治17)年創業。多くの政財界や文学界の著名人が通ったほか、森村誠一の小説「人間の証明」の舞台にもなった。全国から登山客をはじめ、サスペンスや秘湯ファンら年間約3000人が訪れている。

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