御巣鷹の尾根 台風の爪痕残し閉山 管理人の黒沢さん 状況を確認
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
崩れた足場や土砂を見つめる黒沢さん

 520人が犠牲になった群馬県の日航ジャンボ機墜落事故現場の「御巣鷹の尾根」(上野村楢原)は14日、冬季閉山日を迎えた。台風19号による土砂崩れなどで一部の墓標は流失したまま。来春の開山の見通しも立っていない。尾根の管理人、黒沢完一さん(76)は同日、尾根を歩いて回り、被害状況を確認。「管理人になった13年間で最大の被害だ」。遺族に代わり、傾いた墓標を一つ一つ据え直した。

◎昨年完成の階段も崩れる
 尾根に向かう村道は崩落などで通行止めとなっている。例年は閉山日に合わせ訪れる遺族らの姿はなく、ひっそりとしていた。

 地面が削れてしまった登山道。一部では岩をよじ登るようにして進む。最も多くの墓標が並ぶスゲノ沢に足を踏み入れると、幅数メートルにわたって堆積した土砂の向こうに、風車のついた丸太が見えた。「あそこまで墓標の立つ地面があったのに…」

 黒沢さんは、えぐれた参道を避けるように沢に下りた。少なくとも30ほどの墓標が被害に遭ったとみられるという。黒沢さんが昨年完成させた丸太の階段も半分ほどが崩れていた。

 傾いた墓標を直し、表面の土汚れを拭う。花差しの水を抜いたり、周辺を掃除したりしながら頂上付近の「昇魂之碑」へ歩く。碑の周辺は大きな被害はなく、閉山中もさみしくないようにと色とりどりの造花を飾った。下山しながら土砂の中に墓標を探したが、見つけることはできなかった。

 今年は10月11日までの開山期間中に1万0438人が慰霊登山した。台風の後、黒沢さんの元には遺族や関係者から被害状況の問い合わせが40件以上あったという。

 黒沢さんは「墓標は可能な限り探し続ける。ご遺族が一日も早くお参りできるようにしたい」と話した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事