「伝説の駐在さん」布施川警部補 来春に退職 最後まで地域守る
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気さくで明るい性格を武器に、地域に溶け込む布施川さん=9月上旬、川場駐在所

 群馬県警に駐在所勤務ひと筋の警察官がいる。沼田署川場駐在所の布施川功警部補(59)。地域に最も近い警察官になりたいと、各地の駐在所勤務を自ら望んで転々とし、最初の配属からの駐在員生活は35年余り。県警幹部によると、これほど長期の駐在所勤務は近年例がない。同僚は敬意を込めて「伝説の駐在さん」と呼ぶ。布施川さんは「警察官人生に後悔はない」と話し、来春に定年退職する瞬間まで地域の安全安心に尽力するつもりだ。

◎嫌だった駐在所勤務 変えたのは住人と取り組んだ演劇
 「3人の子どもも赴任先の地域に育ててもらった。故郷がたくさんある、という気持ち」。若い頃に喜劇役者を目指したこともあるという布施川さん。それぞれの赴任先には、住民との深い絆があるという。

 藤岡市神田生まれ。1981年4月に警察官を拝命し、交番勤務などを経て83年12月に渋川署北橘駐在所に配属された。4年余りで異動後は、南牧村砥沢駐在所に8年、甘楽町小幡駐在所に10年、榛東駐在所に5年、上野駐在所に2年。川場駐在所では6年目を迎えている。

 県警の駐在所は現在117カ所で、30年ほど前から4割近く減った。1人勤務の駐在所から、複数が交代勤務する交番への転換が進んでいるためだ。家族同伴の異動が伴うことなどから「駐在員への希望は多くない」(県警幹部)という。

 実は、布施川さんも若い頃は駐在所勤務が嫌だったという。地域に溶け込めるかと、戸惑いながら初めて村に入った時の不安は今も鮮明に記憶している。

 「布施川さん、演劇やっていたの」。転機は、当時の南牧村文化協会長とのそんなやりとりだった。村おこしの演劇を住民と制作、大成功となった。住民に受け入れてもらい、「布施川さんにもっと居てほしい」という嘆願書も出された。

 「気さくに明るく接すれば住民も応えてくれる」。地域に自ら飛び込む姿勢がなじむと、お年寄りの体調の変化から不審者情報まで細かな情報が集まるようになった。地域を守るという使命感は生きがいだ。

 退官まで約4カ月。最後の日まで、これまでと何一つ変わらずパトロールや声掛けを続ける考えだ。

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