官製談合疑いで3容疑者逮捕 オープン直後 高崎芸術劇場に激震
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(上)高崎芸術劇場から段ボールを運び出す捜査員=19日午前5時50分ごろ (下)高崎市役所から段ボールを運び出し、車に積み込む捜査員。約50人態勢で行った=19日午前7時45分ごろ
職員らの逮捕を受け、記者会見する富岡賢治高崎市長(中央)ら
(左)うつむいて送検される菅田容疑者=19日午後1時すぎ、前橋署 (中)硬い表情で送検される佐藤容疑者=19日午後0時40分ごろ、高崎署 (右)前橋地検に向かう車内でかがみ込む阿久沢容疑者=19日午後1時ごろ、前橋署

 群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部既報)

◎備品はムービングライト32台
 ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。

 3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。

 県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。

 3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。

 捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。

 市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。

◎入札資料を押収…市役所や劇場 家宅捜索
 「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で、県警は19日、高崎市役所をはじめ、事件の舞台となった同劇場など複数箇所を家宅捜索した。入札に関わる資料などを押収し、事件の全容解明を目指す。

 高崎市役所の家宅捜索は午前3時50分ごろに始まった。捜査員約50人が続々と庁舎に入り、物々しい雰囲気。入札を担当する契約課などを調べたとみられる。捜索は市職員が出勤する午前8時ごろまで続いた。

 JR高崎駅東口にある同劇場には午前3時55分ごろから捜査員約20人が立ち入り、約2時間にわたって捜索を実施。その後、関係資料など段ボール6箱を運び出した。

 他に3容疑者の自宅や電気工事会社「阿久沢電機」なども捜索した。

◎衝撃と困惑 市民にも 「他にもあるのでは」
 9月に開館したばかりの高崎芸術劇場(高崎市)の備品購入を巡る官製談合事件の摘発から一夜明けた19日、市内の各界に衝撃が広がった。官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された菅田明則、阿久沢茂の両容疑者は、市内の各種団体の役員を務めるなど有力者として知られていた。芸術発信の拠点として期待される劇場を舞台とした事件に、市民は困惑の声を上げた。

 阿久沢容疑者は昨年6月から高崎商工会議所の副会頭を務め、任期満了に伴う改選で今月再任されたばかり。副会頭は計4人で、複数の部会や委員会を分担する。同会議所の担当者は「副会頭は出席すべき会議が多い。(阿久沢容疑者を除く)3人ではとても対応できない」と頭を抱える。

 1月には高崎高同窓会長にも就任した。同容疑で逮捕された市課長の佐藤育男容疑者を含む3人はいずれも同高OB。同窓会は19日、緊急の役員集会を開き、会長代行を設ける方針を確認した。ある幹部は「この1週間ほどは会長と連絡が取れなかった。立派な方で、逮捕と知って驚いた」と戸惑った様子だった。

 高崎観光協会は阿久沢容疑者が理事長、菅田容疑者が副理事長を務めている。トップ2の逮捕という事態を受け、吉井秀広専務理事は「非常に残念。今後の態勢はまだ決まっていない。協会の業務を粛々と進めるしかない」と話した。

 新しい劇場に期待を寄せる市民は落胆した。12月の演奏会チケットを購入した女性(68)は「音響の良いホールができたと聞いて楽しみにしていたのに。こういう事件があると、他にもあるのではないかと疑ってしまう」と話した。10月に劇場を訪れた40代の男性会社員は「素晴らしいホールで感動したばかりだった。ただ、市民の宝であることには変わりはない。今後は良い運営をしてほしい」と話した。

 劇場を拠点とする群馬交響楽団の藪原博専務理事は「本拠地を新しいホールに移し、聴衆からもいい音を期待されている。今後もいい音楽を届けることに変わりはない」と冷静に振る舞った。

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