地域に恩返し 筋ジス患者の田村さん 親子二人三脚で介護事業所
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手元のマウスや視線入力でパソコンを操作する田村さん

 筋肉が再生しにくくなる難病、筋ジストロフィー患者の田村淳さん(34)と、母親の高橋敬子さん(54)=いずれも群馬県玉村町上福島=が共同代表を務める介護事業所「よつば介護支援センター」(同町樋越)が、障害者向けのグループホーム「Weed(ウィード)」を立ち上げ、施設で子ども食堂を定期的に開いている。センター設立時から二人三脚で事業を続けて5年目。障害者や住民の交流の輪を広げ、恩返しをしようと奮闘している。

◎子ども食堂を定期開催 指先や視線で書類作成を担当
 「いつか人の役に立ちたい。そう思って福祉の道を選んだ」。田村さんは事業を始めた理由をこう語る。2015年2月に合同会社を設立し、訪問介護の事業所を立ち上げた。現在は地域の障害者に家事、入浴、移動の支援などのサービスを提供している。

 顔周りの筋肉と指先以外を動かせない田村さんは書類作成を担当する。パソコンでは、指だけで操作するマウスや「視線入力機能」を使い、経営に関する報告書などを作る。

 田村さんの病気に最初に気付いたのは小学1年時の担任教員だった。配膳時に給食をこぼす様子などを見て、敬子さんに受診を勧めた。「『17、18歳で死ぬ』と医者から宣告された」と敬子さんは振り返る。

 当時、学校のバリアフリーは十分ではなく、教室移動のたびに敬子さんが介助した。地元の中学校では受け入れてもらえず、特別支援学校に入学したが、進学への思いは強かった。高校を卒業後、福祉の勉強をしようと短大に入った。

 知識が増えて目標が具体化してくる一方で、筋力は確実に衰えた。自力での食事や排せつが難しくなり、人工呼吸器も必要に。20代前半で寝たきりになった。体の変化に戸惑いながらも、事業所開設の夢を諦めなかった。

 今年7月に開所した障害者向けのグループホームには、住民が自由に立ち寄れるスペースを設けた。障害者と地域をつなげたいと考えてきた敬子さんの発案だ。月に1度、子ども食堂を開き、近所の子どもから障害のある大人まで幅広い世代が交流する。田村さんは「周囲に助けられて生きてきた。自分なりのやり方で、地域に恩返ししたい」と話す。

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