高崎談合 3人再逮捕 別の予定価格漏えい 県警 市役所など捜索
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押収物を車両に積み込む捜査員=9日午後9時50分ごろ、高崎市役所

 「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で、別の高崎市発注の入札でも予定価格を漏えいしたなどとして、県警は9日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、同劇場元館長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を再逮捕した。県警は複数の入札で予定価格の漏えいが繰り返されていた可能性もあるとみて詳しく調べる。

◎落札率98.2%
 ほかに再逮捕されたのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=の両容疑者。

 3人の再逮捕容疑は共謀して2月ごろ、市発注の指名競争入札の際、劇場に使用するための延長コードやドライアイスマシンなどの備品数十点について、予定価格1090万円(税抜き)を漏えいし、入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、3人は大筋で容疑を認めている。

 この入札を巡っては、市内の電気工事関係の12社が応札し、阿久沢電機が2月21日、最低価格の約1070万円(同)で落札した。落札率は98.2%だった。

 佐藤容疑者は当時、市の都市集客施設整備室長で、県警は、佐藤容疑者が同劇場に関する備品の予定価格を知り得る立場だったとみている。さらに、最初の逮捕容疑となった1月の照明機材の入札時と同様、阿久沢容疑者に頼まれた菅田容疑者が佐藤容疑者から予定価格を聞き出し、阿久沢容疑者に伝えたとみて、詳しい経緯を調べている。

 前橋地検は9日、最初の逮捕容疑について3人を処分保留とした。県警は同日、高崎市役所や同劇場など関係先を家宅捜索した。

 市職員らの再逮捕を受け、富岡賢治市長は9日、記者団の取材に対し、「市民の信頼を傷つけ、あらためて申し訳ない気持ち。一日も早く信頼を取り戻して適切で力強い行政を進めていきたい」と陳謝した。

◎ずさんな選定委員会運営 浮かび上がる…公開請求
 「予算上(ピアノ)6台分確保しているということ」「(ピアノの使用)頻度は少ないかもしれないが、市としての群響に対する姿勢、意向である」―。昨年6月に高崎市役所で開かれた「高崎芸術劇場備品選定委員会」の会合で、元高崎財団副理事長の菅田明則容疑者(66)=官製談合防止法違反などの容疑で再逮捕=はこう述べ、市幹部のように振る舞っていた。上毛新聞が市に選定委の会議録を公開請求したところ、菅田容疑者の市政への影響力の大きさと、市のずさんな委員会運営が浮かび上がった。

 富岡賢治市長が委嘱した、菅田容疑者や群馬交響楽団関係者ら9人が委員を務める選定委の設置要綱や会議録などが9日までに開示された。

 冒頭の菅田容疑者の発言は、高額なコンサート用グランドピアノの導入台数や考え方について昨年6月5日の会合で説明した際のもの。司会は市都市集客施設整備室長だった佐藤育男容疑者(50)=同=が務め、兵藤公保副市長も出席していた。

 菅田容疑者らの逮捕容疑に絡む照明機材や延長コードなど、ピアノ以外の備品については選定委で話し合われることはなかったという。選定委は「十分な性能・品質のある備品の導入に向け、適正かつ公平に審査、選定する目的」で設置されたが、ある委員は上毛新聞の取材に「オンリー、ピアノ(ピアノだけ)だった」と証言。他の備品の購入は菅田容疑者に大きく委ねられており、委員会で限られた議論しかしなかったことが事件を誘発した可能性があるといえそうだ。

 選定委で議論されたピアノ6台(付属品を含め計1億4200万円余り)と照明機材などの備品の購入は、3月に市議会で承認された。

 富岡市長の「側近」「ブレーン」と呼ばれ、文化や芸術の分野では「天の声」といわれるほど市の発注事業に影響力があったとされる菅田容疑者。学生時代、群響の設立や活動拠点となった群馬音楽センターの建設などに尽力した文化人、井上房一郎(1898~1993年)にかわいがられたという。知人の一人は「菅田容疑者は井上になろうとしていたようだった」と指摘した。

◎「市長や市議会 近過ぎた」…高崎財団関係者
 「菅田明則容疑者の意向は市長の意向のようなもので職員は断れない。予定価格を漏らしたなら佐藤育男容疑者も悪いが、菅田容疑者を重用した市長、『待った』をかけられない市議会など近過ぎる関係性が背景にある」。9日までに上毛新聞の取材に応じた高崎財団関係者は事件について、こう“解説”した。

 この関係者によると、菅田容疑者が社長を務めたグラスロード社やラジオ高崎は市関連の催しや出版物を多く手掛けた。細かな要求に応じられる慣れた業者が重宝されると説明。「パンフレットの場合、やり直しが利く業者と、『仕様書で校正2回とあるのでこれ以上やらない』という業者なら、当然前者を選ぶ」とし、身近な関係だからこそ円滑に業務を行える側面もあると明かす。

 人口減少時代を迎えて高崎の魅力を高めて外にPRする姿勢は間違っていないとした上で、「安ければいいなら備品はインターネットで買えばいい。経済が潤うよう地元企業を大事にするか、安さを追求するか、行政も市民も考えなければいけない」と強調した。

◎高崎市役所や芸術劇場捜索 県警
 「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で3容疑者が再逮捕された9日、県警は高崎市役所や同劇場などを家宅捜索した。入札に関連する資料を押収したとみられる。

 市役所では午後6時10分ごろから捜査員20人が立ち入り約4時間にわたって捜索を行った。市によると、入札を担当した契約課など6カ所を調べたという。

 同じ頃、同劇場の捜索も開始。スーツ姿の捜査員10人が順次、段ボール箱を運び出した。

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