《NEWSインサイド》ロヒンギャとの共生 地域溶け込む支援を
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「あいさつができるようになり、近所の人と少し近くなった」。日本語教室の成果を語り合うロヒンギャ女性ら

 ミャンマーで迫害され、多くが難民となっている少数民族のロヒンギャ。日本最大のコミュニティーが形成されている群馬県館林市では、地域社会に溶け込んでもらおうと、さまざまな支援が続けられている。近年は、言葉の壁や宗教的背景で閉鎖的な暮らしを強いられてきた女性を対象とした日本語教室も行われている。市も共生社会の実現に向け、今月20日にロヒンギャを含む外国人を招いた初のタウンミーティングを開催。当事者の声や要望に耳を傾けた活動が広まりつつある。

 「家に閉じこもっていたころとは違う。心が広がった」。流ちょうな日本語で話すモリヤン・マタタカインさん。ロヒンギャ難民として来日した2002年以降は日本語が理解できないまま市内で暮らし、5人の子どもを産み育ててきた。だが2年前、日本語教室に通い始めて生活が大きく変化。今では車を運転し、夫に頼らずに買い物や病院にも行ける。現在、教室の仲間と一緒に小学2年生レベルの漢字を勉強中だ。

■住民にあいさつ■
 市内にロヒンギャが暮らし始めたのは1996年。最初の1人が埼玉県から移住すると、仲間が続々と集まった。在日ビルマロヒンギャ協会によると、同市周辺に約250人が集住。日本で生まれた子どもは100人を超えた。

 仕事を持つ男性は住民と交流する機会が増えつつある。だが、女性は文化的・宗教的背景から公共の場で家族以外の男性と同席できないなど、社会との接点が少なく、モリヤンさんのように閉鎖的な暮らしを強いられてきた。

 地域社会への扉を開いたのは難民支援に取り組む都内の社会福祉法人、日本国際社会事業団(ISSJ)の活動だ。行動の自由と日本語の習得を望む女性たちの思いを受け、2017年に公民館など市内3カ所でイスラム教徒(ムスリム)の女性を対象に日本語教室を開始。スタッフも含めた女性限定の教室に37人が集まった。日本語の習得をきっかけに運転免許や仕事を手にし、地元住民とあいさつできるようになるなど、地域とのつながりが芽生えた。

 日本語教室は国の助成を受けた3カ年事業。本年度で終わるため、継続への模索が続く。ISSJの石川美絵子常務理事は「いずれはムスリムの女性たちでサークルを立ち上げ、地域に日本語教育の協力者が出てくれば」と期待を寄せる。

■切実な思い■
 「共に笑い共に創る未来」をテーマに、市が今月20日に開いたタウンミーティング。在日ビルマロヒンギャ協会幹部のアウン・ティンさんなど市内在住の外国人らは「学校行事を含め日本の教育は特殊で理解しにくい」「言葉が分からない親の教育が大事。助けてほしい」と切実な思いを訴えた。

 タウンミーティングでは、今後の取り組みを考えるグループワークも行った。市国際交流協会の神村明良副会長は「地域社会になじんでいけるよう、心を砕いていかないといけない」とし、須藤和臣市長は「今後の政策に反映させたい」と力を込めた。

 「日本は安心して子どもを育てられる。ずっと住んでいたい」「いつか日本人の女性とおしゃべりもしたい」。こうした女性たちの心に寄り添う難民支援が求められている。(御山まゆみ)

 【メモ】 ロヒンギャは主にミャンマー西部ラカイン州に居住するイスラム教徒少数民族。仏教徒が9割を占める同国で「不法移民」の扱いを受け、国籍が無い。2017年8月、同国治安部隊とロヒンギャの武装組織との間で大規模な戦闘が起こり、70万人以上の難民が隣国のバングラデシュへ逃れた。帰還プロセスは進んでおらず、深刻な人権問題として国際的に注目されている。

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