被害把握、発信に課題 避難所整備へ急ピッチ 台風19号3カ月
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 台風19号の対応では、行政による被害情報の把握が大幅に遅れたり、避難に関する住民への情報発信で混乱を招いたりと、情報についての課題が浮かび上がった。極めてまれな大雨に見舞われ、避難所が使えない例もあった。台風襲来から3カ月、各自治体は検証を進め、緊急時に対応した体制づくりを急いでいる。

■庁内態勢
 太田市では昨年10月12日の夜から翌朝にかけ、南部で浸水被害が相次いだ。消防が市の災害対策本部に逐一報告していたにもかかわらず、本部長の清水聖義市長は明朝、大きな被害はなかったと判断、同本部を廃止した。災害対応を担う市総務部が状況を把握したのは14日夜で、市長への報告が翌朝にずれ込んだためだ。被害発生から2日以上たっての報告に清水市長は「連絡体制に問題があった」との見解を示した。

 市は昨年12月、課題を検証した報告書の暫定版を公表。情報の収集、分析ができる庁内の態勢を整える方針などを打ち出した。年度内に完成版を出して具体策を示すとしている。

 同市では、利根川に氾濫の恐れが生じたとして8カ所の避難所を途中閉鎖したことも問題になった。バスで再度避難した人もいたという。閉鎖した避難所は浸水想定区域にあった。市は住民の混乱や避難距離を考慮しながら、安全が確保できる避難場所を検討するとしている。

■マニュアル
 土砂災害警戒区域に指定されていなかったことなどのため避難勧告が出されず、結果として3人が犠牲となった富岡市は昨年末に検証委員会を立ち上げた。土砂崩れなどの危険箇所について細かく情報を集め、より詳しい避難マニュアルを作る方針を掲げる。情報伝達については、大雨時に防災無線が聞き取りにくいという住民の声を受け、希望する全世帯に防災ラジオを無料配布する予定だ。

 土砂崩れにより男性1人が亡くなった藤岡市は避難者の少なさを課題に挙げた。被災当時、メールや広報車で呼び掛けたものの、避難勧告の対象者約2万5千人のうち避難したのは3%程度にとどまった。避難率向上に向け、市は区長や消防団長ら住民の代表と議論を重ね、初動態勢や避難所の運営についても話し合うとしている。

■受け入れ
 国道の通行止めなどで交通網がまひした嬬恋村は「被害範囲は広かったが、把握に遅れはなかった」とする。数年前から、各地区に依頼していた自主防災体制の整備が奏功し、避難誘導がスムーズに運んだという。高齢者の誘導など、住民の協力が人的被害を防いだ大きな要因の一つになったと分析する。

 一方で、避難所の受け入れ態勢に課題が見られた。幼児や障害者に対応した福祉避難所は川の増水で使用できず、避難場所が分からないとの声もあった。担当者は「専用ベッドや障害者用トイレの必要性を感じた。備蓄品も含めて見直しが必要」と話した。

◎住民の避難行動 全戸対象に調査 板倉町
 台風19号の際の住民避難の課題を見つけるため、板倉町は全世帯を対象にした避難行動調査を実施した。避難を始めた時刻、避難した場所など、町民の動きを正確に把握することで、安心安全なまちづくりへとつなげる考えだ。

 避難所に避難した町民は3割弱に当たる4105人。それ以外の町民の動きもつかみ、より効果的な対策を講じるため、調査票を全戸に配布した。避難場所までの移動手段、避難したきっかけも質問し、現在集計している。

 集計結果から課題を探り、新しいハザードマップの作製に生かすほか、町と住民代表による討論会も計画している。栗原実町長は「浮き彫りとなった課題の解決に全力を注ぎ、災害に強いまちをつくりたい」とする。

 県も台風対応の課題を今後に生かそうと模索。昨年12月から県内を五つのブロックに分け、市町村との意見交換会を開いている。

 避難には地元自治会や住民の協力が不可欠で、福祉避難所の開設訓練を重ねてきた町は要配慮者の避難が比較的スムーズだったという。県危機管理室は「問題点を探るだけでなく、それぞれの市町村の連携を把握する機会にもなる」と説明。各地の取り組み事例や課題をまとめ、今後の市町村担当者会議などで共有する考えだ。

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