うつ病や認知症 治療に期待 群馬大大学院グループ iPS活用
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 群馬大大学院医学系研究科の石崎泰樹教授らの研究グループは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った血管の細胞を、脳梗塞を起こしたラットの発症部位に移植したところ、症状が大きく改善したとする研究結果を公表した。研究対象とした発症部位は大脳白質で、この部位の脳梗塞でリスクが高まる中高年のうつ病や初期の認知症への新たな治療法の確立につながる成果だとしている。

◎「5~10年後に応用」期待
 同グループはヒトのiPS細胞で、血管の内側にある「血管内皮細胞」を作成。ラットの脳梗塞を起こした部位に同細胞を注射すると、歩行障害が改善し、梗塞が起きている範囲が小さくなった。神経細胞の働きを助ける「髄鞘ずいしょう」も再生した。

 これまでの研究で、血管内皮細胞の移植が大脳白質の脳梗塞に有効だと分かっていたが、個々の患者に適合する細胞を作ったり、手に入れたりすることは困難だった。さまざまな組織や臓器の細胞に分化する機能を持ち、再生医療の分野で研究が進むiPS細胞を活用することで課題解決につなげた。

 今後、脳梗塞を改善させている仕組みをより精緻に解明できれば、移植より負担が少ない注射などの方法で、治療できる可能性もあるという。石崎教授は「研究を進めれば5~10年後に患者さんへの応用ができるのではないか」と期待している。研究成果は国際神経化学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロケミストリー」に掲載された。

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