女子高生死傷事故 87歳被告に禁錮4年6月求刑 前橋地裁公判
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 

 前橋市北代田町の県道で2018年1月、乗用車で女子高校生2人をはねて死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた男(87)=同市=の論告求刑公判が23日、前橋地裁(国井恒志裁判長)であった。検察側は「『走る凶器』とも言われる車を全く制御できない状態になり、危険性は大きい」として禁錮4年6月を求刑し、弁護側は「事故の予見可能性はなかった」と無罪を主張。同日結審し、判決は3月5日に言い渡される。

◎予見可能性などが争点に
 公判では、被告の事故当時の健康状態などから、 (1)予見可能性に基づいて運転を控える注意義務があったか (2)刑事責任能力の有無―が主な争点となっている。

 検察側は論告で、被告が16年からめまいなどの症状で医療機関を受診し、医師から「低血圧になりやすく、生活上の指導を受けていた」と指摘。こうした状況を示す診療記録や家族の供述に対し、被告が公判でめまいの症状はなかったと主張している点について「責任を逃れるための不合理な弁解で、反省が全く見られない」と非難した。

 また、日ごろから家族に運転を控えるように注意され、本件以前に物損事故を起こしたり、事故直前2日間は体調不良で寝込んだりしていた点にも言及。事故当日も家族に止められたが運転し、急激な血圧変動で意識レベルが低下して事故を起こしたことには「正常な運転が困難だと予見するのは十分可能だった」と述べた。再実施の精神鑑定結果などに基づき、軽度の認知障害または認知症だったとして「責任能力はあった」と主張した。

 これに対し弁護側は、被告が主治医から「低血圧の症状により、意識障害が生じる恐れがあるとは伝えられていなかった」と強調。家族も被告が高齢のために運転を注意していただけだとして、「事故原因である意識障害を予見できず、運転を避ける義務とは無関係だった」と指摘した。

 さらに、起訴前の精神鑑定を担当した医師が、被告を「(衝動的な行動などが目立つ)重度の前頭側頭型認知症」と診断した点を説明。「(事故当時は)行動の抑制がきかない心神喪失状態」として責任能力はなく、無罪だと主張した。

 論告などによると、事故は18年1月9日午前8時25分ごろ発生。被告は乗用車を運転中、急激な血圧低下で意識障害に陥り、対向車線の路側帯を自転車で走っていた市立前橋高1年の女子生徒=当時(16)=と同校3年だった少女=同(18)=をはね、女子生徒を死亡させ、少女に脳挫傷などの大けがを負わせたとされる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事