《ぐんま再発見》富岡・新装施設 市街に続々 世界遺産 連携し誘客
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工事が進む韮塚直次郎製糸場=2月中旬、富岡市
 

 群馬県富岡市の中心市街地で、県や市によって改修工事が進められてきた複数の施設が3月以降、相次いでオープンする。観光客の誘致をはじめ、回遊や滞在の時間を増やすきっかけになればと期待される。周辺には、同様に行政が整備したものの利用法の模索が続く施設もあり、今後はいかに活用するかが鍵となりそうだ。

■隈研吾さん設計
 世界文化遺産の富岡製糸場から歩いて数十秒ほど。目抜き通りとなる城町通りの横に、瓦ぶきの和風建築物がある。作業員たちが2月中旬、3月末の完成に向けて工事を進めていた。

 製糸場を模範として建てられたとされる「韮塚直次郎製糸場」で、市がかつての長屋を改修した。新年度からは建物自体の価値を伝えるとともに、富岡製糸場の券売所や団体予約客の待機場所などとして使うという。

 このほか、中心市街地では(1)県立世界遺産センター(略称・セカイト、3月27日開所)(2)製糸場内の国宝・西置繭所(6月先行公開、10月グランドオープン)―といった観光客向けの施設が整備される。

 製糸場から200メートルほど離れた城町通り沿いでは、3月中に「南広場」が完成する。市は「家族連れや、まちなかの食べ歩き客が一息つけるような場所にしたい」とする。

 県立世界遺産センターが入る歴史的建造物群「富岡倉庫」の改修工事は、市役所庁舎を設計した世界的建築家、隈研吾さんが設計に携わった。建築関連の著名な雑誌やテレビで紹介されるなど、注目度は高い。

■にぎわい課新設
 一方、周辺には製糸場の世界遺産登録を見据えて整備されたものの、入場者数の減少をはじめとした環境変化にさらされている施設もある。銀座、仲町、宮本町の「まちなか交流館」はその一例で、仲町と宮本町の交流館は近年、土産物販売を取りやめた。

 地元の自営業の70代男性は「観光客もそうだが、少子高齢化で地元客も減っている。経済を活性化してほしい」と話す。60代の男性は一帯でテナントの家賃下落が続いているとし、「『仏造って魂入れず』では仕方ない。何か魅力あるものを生み出さないといけない」と指摘する。

 こうした状況を踏まえ、施設を活用した上で中心市街地に新たな活気を生み出そうと、市は新年度に予定する組織改編で「まちなかにぎわい課」を新設する。現行の「拠点整備課」を発展させ、対応を強化する変更となり、担当者は「プレーヤーを発掘し、そろいつつある施設とマッチングさせていきたい」としている。

■登録時ピーク 入場者減続く 富岡製糸場
 富岡製糸場(富岡市)の入場者数は世界遺産登録された2014年度(約133万8000人)をピークに減り続け、18年度は約51万9000人だった。19年度は1月までの集計が約41万3000人にとどまっており、2、3月が前年と同水準だった場合は、50万人に届かない可能性が出てきた。

 減少の一途をたどる入場者数だが、明るい兆しもある。1月は前年同月より1000人以上多い約2万1000人。前年同月を上回ったのは4年半ぶりで、市は閑散期対策のイベントや暖冬などが影響した可能性があると推測している。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響がどこまで広がるかが懸念されるものの、2月も20日時点で前年同月を176人上回っており、下げ止まりが確かなものになるかが注目される。

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