新型コロナウイルス 院内感染か 新たに大泉の70代夫婦を確認
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「感染を起こしやすい状況を避け、こまめな手洗いをしてほしい」と感染予防を呼び掛ける釜萢さん

 群馬県は14日、新たに大泉町の診療所「ましも内科・胃腸科」に勤務する70代男性医師の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。70代の妻も感染が判明した。同診療所では12日に60代の女性看護師も感染が確認されており、県は院内感染したとみている。

◎医師の夫は重症
 県によると、医師は3月4日に微熱やせきが出始め、7日には女性看護師と妻にせきなどの症状が出た。医師から看護師、妻に感染が広がった可能性が高いとみられる。

 医師は重症で、県内の医療機関の集中治療室(ICU)に入っている。聞き取りができる状態でなく、現時点では感染経路は特定できていない。

 医師の濃厚接触者について県は14日までに、同診療所の職員8人、外来診療や往診で接した患者ら58人、親族1人の計67人を確認した。同日夜の時点で67人の中に発熱やせきなどの症状が出ている人は把握できていない。

 医師は4~11日、外来診療や太田、館林両保健所管内の患者宅への往診をしていた。この間もせきが続き、10日には37度台の発熱、だるさなどが出た。診療や往診の際はマスクを着けていたが、食事などの際に外すこともあった。往診は女性看護師が一緒の車で同行していた。13日に強いだるさや息切れがあり、帰国者・接触者外来の受診で肺炎が確認された。

 県として院内感染と判断したことを受け、14日の臨時会見で山本一太知事は「あってはならないこと。大変遺憾だ」と述べた。

 医師の妻は9日以降、外出していない。せきが続いていた13日に、帰国者・接触者外来で肺炎が確認され、県内の医療機関に入院した。基礎疾患はあるが、重症化していない。

 同診療所のある大泉町の村山俊明町長は上毛新聞の取材に「15日朝にも町民に向け防災無線で情報を伝えたい」と述べた。同日中に記者会見する。

◎感染防止の環境を 短時間の抗体検査に期待…日本医師会感染症危機管理対策室長・釜萢敏さん
 新型コロナウイルスの群馬県内での初感染が判明して1週間。日本医師会感染症危機管理対策室長で政府の専門家会議メンバーを務める釜萢かまやち敏さん(前高崎市医師会長)に検査の現状や今後の見通し、県民が取るべき行動を聞いた。

―「自分も感染しているのでは」との不安からPCR検査を望む県民は多い。
 PCR検査は非常に量が少ないウイルスの遺伝子を増幅させ、有無を調べる手法。陽性の場合に「感染した」と断定できる一方、陰性でも「感染していない」と言えない。感染していても採取した検体にウイルスが含まれず、増幅しても検出できない可能性があるからだ。

 あくまでも感染が強く疑われ、早期の治療が必要な人の感染を確定するのが目的。不安を解消できる検査ではないことを大前提として伝えたい。

 ただ、血液中の抗体を調べ、感染の有無を確認する抗体検査は近く可能になりそうだ。PCR検査よりはるかに簡単に短い時間で感染の有無を調べられる。そうなれば季節性インフルエンザのように一定数の検査結果から地域的な流行度を評価できる。

 全国一斉ではなく、流行地域を中心に休校やイベント自粛などの対策を打てるようになり、社会的影響や経済的損失も抑えられる。

―感染者は群馬県を含む全国で日々増えている。検査態勢などの増強が必要だ。
 確かに現在は検査可能数が少なく、対象者を絞らなければならない事情がある。6日から検査が公的医療保険の対象になった。民間検査会社など参入が増えれば改善するはずだ。

 それに先立つ検査の必要性の判断についても、帰国者・接触者相談センターを経由せずに医師の判断を確実に検査に結び付けなければならない。医療現場の感染防止の環境構築を含め、地域の医師会を中心にしっかり態勢を組む必要がある。

―県民一人一人はどう行動するべきか。
 閉鎖空間に多くの人数がいて互いに手が届く距離で一定時間、話をするなど感染を起こしやすい状況は分かっている。こうした状況を自主的に避ける行動を取り、こまめに手洗いをしてほしい。

 「熱などの症状が4日以上続く場合」という目安は「4日間は我慢して」というメッセージではない。「4日も続くならすぐ相談を」ということ。特に高齢者や基礎疾患がある方は2日も続く場合はすぐ相談してほしい。

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