《チカさんの登校日記 (3)》準備 設備や指導法 学校が協議
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知果さんの高崎金古南小入学に向けて情報共有した関係者=2019年4月

 地域の高崎金古南小で行われる就学時健康診断の案内が届いたのは驚きだった。寝たきりで意思表示も難しい重症心身障害児の石川知果さん(7)=群馬県高崎市=に、手厚い支援のある特別支援学校以外の選択肢があるとは、父の彰さん(46)と母の京子さん(48)は思いも寄らなかったからだ。「地域の小学校に通えるってこと?」

 同年代の子の声にうれしそうな反応を示す知果さん。障害の有無に関わらず多くの友達と接する環境が大切だと考え、両親は同校で学ばせたいとの思いを強めた。

■話し合いの場
 2018年9月、市教委と同校に入学希望を伝えた。市内にある地域の小学校の特別支援学級には約400人が通うが、知果さんほどの重症心身障害児を受け入れた例は過去にもないという。学校側は話し合いの場を設けることにした。

 大沢秀人校長(59)は当初、障害児教育のノウハウのある二葉特別支援学校(同市)への通学が最適と考えていた。「校舎は古く、バリアフリーも不十分。知果ちゃんの安全が第一ですので…」。前例のない試みへの戸惑いを率直に伝えた。

■真剣な思い
 「一筆、書きます」。京子さんは、万が一の事故や体調の急変で不測の事態が起きたとしても、学校側の責任を問わない考えを申し出た。強い覚悟を感じた大沢校長は書面化を断った。容易ではないが真剣な思いに応えようと、準備に取り掛かった。13年の学校教育法施行令の改正で、教育委員会などが本人や保護者の意見を最大限尊重する仕組みとなったことなども受け入れを後押しした。

 健診結果は「二葉特別支援学校が適切」。それでも一家の意向が尊重され、入学準備は着々と進められた。学校側はスロープや昇降機など車いすで過ごす知果さんに必要な設備を洗い出した。市教委は介助手を探し、バリアフリー工事を行い、19年4月までにトイレにシャワー室と大型ベッド(ユニバーサルシート)を設置した。

■両親の困惑
 「知果一人のためにこれほどの手間と予算は申し訳ない」。両親の困惑を察し、高崎金古南小の女性教諭が語り掛けた。「将来入学する障害のある子や車いすの保護者らが昇降機を使うこともある。知果ちゃんのためだけじゃないんですよ」

 関係者による会議が重ねられ、知果さんを撮影した動画で障害の程度を把握し、指導方法やアレルギー対応を協議した。入学式の数日前には、知果さんを5年以上見守ってきた訪問看護師、発達支援施設の職員ら計20人が集結し、必要な情報を共有した。

 こうして知果さんを迎える態勢が整った。

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