福祉事業に風評や偏見 感染確認の伊勢崎、玉村 県に対策要請へ
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 高齢者らの福祉施設で新型コロナウイルス感染者が発生した群馬県伊勢崎市や玉村町で、当該施設の出入り事業者の利用者をはじめ、近隣の看護や介護などの訪問事業者に対する風評被害が広がっている。高齢者らが別の事業者からサービス提供を拒まれたり、訪問事業者が偏見を持たれたりするケースがある。事態を重く見た同町が15日、情報開示などの要望書を県に提出したほか、福祉事業者でつくる「玉村地区地域包括ケアネットワーク会議」は実態調査に乗りだした。

◎看護師へ罵声、障害者サービス拒否
 「利用者に『検査は受けたのか』と罵声を浴びせられ、看護師が泣いて帰ってきた」―。同町の訪問看護事業所の男性責任者は、こう打ち明けた。町内の福祉施設「プラムの森」で感染者が出たことを受け、同町内にあるという理由で偏見を抱いてしまう町外の利用者が少なくないという。

 この事業所では利用中止の申し出が相次ぎ、訪問件数が2割ほど減った。「何よりリハビリなどを中断している高齢者の体が心配。長期に及ぶと経営を続けていけない」と話した。

 一方、障害者らがサービス提供を拒まれる例もある。高齢者や障害者は、複数の事業者からさまざまな訪問サービスを受けるのが一般的。利用者を介した感染を避けるため、伊勢崎市内のある訪問介護事業所は、クラスター(感染者集団)が発生した有料老人ホーム「藤和のその」に出入りしていたヘルパーから入浴介助を受けていた障害者へのサービスを中止した。

 男性管理者は「(感染を疑うようで)利用者には申し訳ないが、うちの職員が別の利用者に感染させてしまう恐れもある。せめて、藤和の苑への出入り業者や濃厚接触者が誰なのかが分からないと、適切な予防もできない」と吐露した。

 同ネットワーク会議は、町内78事業所を対象にアンケートを実施し、利用者への対応や経営への影響などを調べている。結果をまとめ、近く町や県に「正確な情報開示」「風評被害対策」などを求める要望書と併せて提出する方針。

 サービスを受けられない高齢者や障害者が出ていることに、県は「各事業所は予防対策をしっかり行い、できるだけサービスを継続してほしい」としている。

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