《コロナ現場発》「発熱外来」パンク状態に 医師らの疲労ピーク
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感染防止のため「N95マスク」などを着け、ガラス越しに診察する男性医師。「感染者をさげすみ、非難する人がいるが大間違い。誰でも感染する。皆が不安を抱えている」=17日

 新型コロナウイルスを巡り、発熱や風邪の症状がある患者を一手に引き受け、検査や処置の内容を振り分ける「発熱外来」で、2月に独自に開設した群馬県内の病院に患者が集中し、パンク状態となっている。対応する医師らは新型コロナ感染を疑うかの判断自体が難しい上、自らも感染リスクと紙一重で疲労がピークに。各地で早急に発熱外来が設けられることを切望する。

◎「県などは早急に各地で設立を」
 風邪の症状を訴える女性が今月上旬、この病院の発熱外来を訪れた。問診や血圧、酸素飽和度などからは肺炎かどうか全く分からなかった。ただ、症状が長引いていたため、念のためコンピューター断層撮影(CT)を実施。両方の肺に肺炎の像が認められた。

 検体を採取してPCR検査をしたが、陰性。せきの症状が続き再び来院、再度のPCR検査で陽性となった。最初の発熱から10日後、保健所に相談してからは4日後のことだった。

 「診断が本当に難しい。新型コロナに感染しているかは一般的な診療では分からないことが多い」。診察した男性医師は17日、上毛新聞の取材に応じて打ち明けた。接触歴、バイタル測定、CT、採血、PCR検査を組み合わせないと判断できず、こうした状況からCTを撮るケースが増えているという。

 この病院の発熱外来には他の県内自治体や県外からも患者が訪れている。男性医師は、他の多くの医療機関で発熱者などの診察が困難になったためと指摘。受診に感謝されることが多い半面、脅し文句を受けたりすることもある。

 「患者さんは悪くない。自分たちも新型コロナの専門家ではないので全てが手探り。何より感染のリスクと常に隣り合わせなので、相当のストレスがある」と男性医師。県などに対し、持続可能な医療体制の構築と迅速な支援を求める。

 多いときは一日20~30人の患者が訪れたため、今は枠を限った。ところがこれであぶれた人が、通常の外来に訪れる事態も起きた。

 この病院の幹部は、リスクや限りある医療資源などを考慮し、発熱外来を設けたと説明。一方、医療従事者が感染すれば診療が立ちゆかなくなり、最悪倒産する恐れもあるとし、診療を断る他の医療機関にも理解を示す。「現場の切迫感、切実感を受け止め、県などには各地に公的な性格を持つ発熱外来を早急に設けてほしい」と訴える。(五十嵐啓介)

     ◇     ◇

 世界中で感染拡大が止まらない新型コロナウイルスに対し、政府は群馬県を含む全都道府県に緊急事態宣言を出した。先行きを見通せない閉塞感が社会を覆う。悩み、模索し、それでも歩む。そんな現場を追う。(随時掲載)

 【メモ】感染防止のため、発熱外来は診察場所や入り口といった動線を分けるのが一般的。県内ではこれまでに公的な性格を持つものとして、渋川市国保あかぎ診療所、安中市の公立碓氷病院で運用が始まり、富岡市の公立富岡総合病院敷地内にある休日診療所でも20日に開始される。多地域でも準備が進む。

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