《コロナ現場発》火葬 時間外に防護服姿で 葬儀業者 募る危機感
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防護服姿で火葬に臨む関係者。「遺体が非透過性納体袋に入っていれば大丈夫とされるが、それでも気になる」と打ち明ける(提供写真)

 新型コロナウイルス感染症による死者の火葬には、感染拡大を防ぐといった観点から、遺族でも現実的には立ち会えない。群馬県内の感染症の死者を弔った葬儀業者が、上毛新聞の取材に応じ、実情を語った。新型コロナ感染の疑いがある遺体が今後増える恐れがあることにも言及、危機感を募らせる。

■表情分からず
 「新型コロナ感染の人が亡くなりました」

 葬儀業者の男性は今月中旬、有料老人ホーム「藤和のその」(伊勢崎市)の入所者の1人が死亡したと連絡を受けた。感染拡大前に購入しておいた防護服に身を包み、遺体がある市外の病院へ霊きゅう車を走らせた。

 遺体は、分厚いビニールでできたような「非透過性納体袋」に入れられた上、不織布でくるまれ、表情は分からなかった。病院関係者がひつぎに移した。普通の葬儀の場合、霊きゅう車には業者2人が乗るが、この時は男性1人。「もしも複数が感染したら会社が回らない」。火葬場へ運んだ。

 翌日、他の葬儀などが終わった夕方、通常は営まれない時間帯に遺体は火葬された。「感染拡大を防ぐためもあるし、防護服姿を見られたら騒ぎになる」。骨つぼに収められた後、身寄りがなかったため、関係者に屋外で引き渡した。

 男性はそれから1週間、自宅にこもって他人との接触を絶った。自分が感染していた場合に備えた。

■遺族、外で待機
 新型コロナ感染による県内の他の死者の葬儀では、関係者間で打ち合わせた上、遺族には火葬場の外で待っていてもらった。「本当に気の毒だが、こういう病気なので。かわいそうだが、どうにも仕方がない」

 男性が今、危機感を強めているのが、「グレーゾーンの遺体」だ。男性によると、取り扱う遺体の死因は「肺炎」であることが少なくないが、新型コロナ感染によるものか分からないケースが出ているという。

 最近も、亡くなった状況から新型コロナ感染の疑いが否定できない遺体があった。遺族にPCR検査を勧めると拒否された。「万が一、感染していて、こちらが無防備だったことを考えると…」。県などに、防護服をはじめ相応な装備を融通してほしいと求める。

 新型コロナ感染による県内の死者は27日現在で15人。

 【メモ】遺族の意向 尊重が必要とも
 厚生労働省はホームページに、葬儀業者向けの注意事項などを掲載している。新型コロナウイルスによる死者は、遺体からの感染を防ぐため、非透過性納体袋に収容・密封することが望ましいと説明。一方で、感染拡大防止対策上の支障などがなければ、できる限り遺族の意向を尊重することが必要ともしている。

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