関越道バス事故8年 コロナで追悼できず 遺族「現場行きたい」
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事故現場に線香と花を供え、読経する広瀬住職(手前)ら=28日

 2012年に群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバス事故は、29日で発生から8年を迎える。今年は新型コロナウイルス感染防止のためやむを得ず、現地での追悼を断念する遺族が相次いでいる。歳月が流れる中で、遺族の中には事故の風化を懸念する声も上がっている。

 母の郁子さん=当時(49)=を亡くし、自身も重傷を負った林彩乃さん(31)=富山県高岡市=は外出自粛や感染防止を理由に現地での追悼を断念。今も、映画や食べ物の話題など家族との何げない会話の中で母親を思い出すといい、「時間がたつにつれて亡くなった母の大きさを感じる。事故を忘れないことが何よりも大切」と話し、「新型コロナウイルスが落ち着いたら現場に行きたい」とした。

 昨年4月に東京・池袋で発生した高齢ドライバーによる親子死傷事故など悲惨な事故が後を絶たない状況に「誰もが事故の当事者になる可能性を知ってほしい」と語気を強める。

 一人娘の胡桃さん=当時(17)=を亡くし、毎年4月29日に現地を訪れている岩上剛さん(48)=石川県白山市=も今年は来県を控え、事故発生時刻には胡桃さんが眠る墓の前で過ごすという。事故の風化を懸念し、「今も悲しんでいる人がいることを忘れないでほしい」と願う。

 犠牲者のために法要を行う、事故現場近くの観音寺の広瀬雅敏名誉住職(74)と福島昭弘住職(35)は28日、事故現場に花と線香を手向けた。遺族らと交流を続ける広瀬名誉住職は「現地に来られない方のためにできる限りのことはしてあげたい」と話した。

 事故は12年4月29日午前4時40分ごろに発生。乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った。遠因には、2000年の規制緩和以降に競争が激化してバスツアーの値下げが進み、安全確保が軽視されるという構造的な問題があったとされる。

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