《部活が揺れる 長引く自粛》(5) 生徒参加型へ 休校を契機に
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「部活の教育的意義に立ち返って」と語る妹尾さん(本人提供)

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う長期間の休校は、始まったばかりの部活動改革を考える機会にもなっている。スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員を務めた教育研究家の妹尾昌俊さん(40)は「生徒参加型の部活を再度つくり直す視点を」と強調する。

―部活の全国大会が相次いで中止されている。
 生徒にとっては「一つの集大成なのに残念」という気持ちがあり、主催者にとっては苦渋の決断だろう。ただ、命には代えられない問題で、生徒の健康を守り、周りにうつさないことが第一だ。無観客開催の選択肢もなくはないが、全国大会となると生徒が県域をまたいで移動する。安全を優先したのは致し方ない。

―代替の大会を検討する動きも出ている。
 感染者が少ない地域は代替措置を行うのも一つの選択肢だ。ただ、競争の世界なので大会を開くとなれば練習を一生懸命する。ハードな練習になれば感染症対策が二の次、三の次になる懸念がある。

―長期間活動が行われないことによる影響は。
 部活に限った話ではないが、長引く休校で教員や友達とのつながりが薄くなり、子どもたちが孤立していないかが心配だ。一部でオンラインの活動が始まっているが、いろいろなツールを使ってつながりをつくれば、子どもの悩みやSOSをキャッチしやすくなる。端末やインターネット環境がない家庭には、行政が支援すべきだ。

―休校期間は部活改革に生かせるか。
 そもそも、部活を何のためにやっているのかを見つめ直す機会にしてほしい。いろいろな目標や目的があっていいが、「大会に出たい、勝ちたい」ことだけが本来目指すものではない。楽しんだりチャレンジしたり、チームワークを学んだり、人間的に成長したり。そういった教育的意義に立ち返ってみたい。

 部員同士がネットでつながり、今後の練習の仕方や引退時期などを話し合ってもいい。学習指導要領には部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と書かれている。生徒参加型の部活を再度つくり直す視点が重要だ。

―部活が再開した場合の懸念は。
 部室一つとっても換気が悪い。密集、密接する活動もあり、長時間続ければ感染リスクが高まる。3密を避けた上で、なるべく短時間で済ませたり、休養日を増やしたりと安全対策を図りつつ、生徒が楽しめる部活動にしたい。

―中高生にメッセージを。
 この社会的危機に、何を優先し大事にすべきなのかを見つめ直すいい機会だ。部活は我慢せざるを得ないが、せっかくできた自由時間を、自分の人生としてどう使うかを主体的に考えてほしい。

 せのお・まさとし 1979年、徳島県生まれ。全国で学校、教育委員会向けの研修・講演などを行う。スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員などを歴任。近著に『教師崩壊』(PHP新書)。

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