尾瀬の植生 50年前と大きく変容 原因はシカによる食害か
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ミズバショウが咲く尾瀬ケ原と雪の残る至仏山=2019年6月2日掲載

 ニホンジカの食害が深刻化している群馬・尾瀬国立公園の尾瀬ケ原で、自生する植物が50年前と比べ大きく変化していることが、最新の学術調査で明らかになった。シカが食べる草丈が高い在来種を中心に43種が減少し、入れ替わるように小型の種が増えていた。こうした状況が続けばかつての姿を取り戻すのは難しくなるとして、調査した専門家は「被害を受けやすい場所から対策を急ぐべきだ」としている。

◎小型の植物など90種が新たに確認 外来種の増加は見られず
 東京農工大などの研究班が、1966~68年の前回調査と、現在の植物の状況を比較した。半世紀にわたる植生の変化を尾瀬ケ原の広い範囲で調べたのは初めて。

 尾瀬ケ原にある湿原や低木林、河畔林などの13の植物群落で計285カ所調べた。このうち12の群落で、前回調査より明らかに少なくなったり、確認できなくなったりした植物があり、ニッコウキスゲやサワギキョウなど43種に上った。茎や枝を食べられたとみられ、根を掘り返され土壌が壊れた場所もあった。

 増加したり新たに確認されたりしたのは9群落の90種で、マイヅルソウなど小型でシカに食べられにくい植物が目立った。外来種の増加はほとんど見られなかったという。

 群落がある環境別では、低層湿原が食害を受けやすいことが分かった。尾瀬ケ原周辺の至仏山や燧ケ岳でも、絶滅危惧種や食害を受けやすい植物が集まる場所があり、保全対策が必要なことが明らかになった。

 研究に当たる同大大学院の星野義延教授(植物管理学)は植物の大幅な入れ替わりが起きている可能性があると指摘。「低層湿原など被害を受けやすい場所から、シカの侵入を防ぐ柵の設置や、捕獲などの対策を急ぐべきだ」と話す。

 調査は2019年度までの3年間実施した第4次尾瀬総合学術調査(事務局・尾瀬保護財団)の一環。尾瀬では1990年代半ば以降、栃木県の日光方面から入り込んだとみられるシカが確認されている。

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