《コロナ現場発》帰国の海外協力隊員 嬬恋のキャベツ畑で貢献
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キャベツ畑で植え付け作業を学ぶ協力隊員

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急帰国を余儀なくされた国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員が、その能力と体力を人手不足の夏秋キャベツ生産現場で生かすプロジェクトが嬬恋村で動き始めた。隊員は21日から約5カ月間、農作業と同時に地域課題の解決に挑む。

◎「不完全燃焼」 還元する機会に
 JICA東京と甘楽町のNPO法人、自然塾寺子屋が連携。協力隊の派遣前研修などを手掛ける同NPOには隊のOB・OGがおり、プロジェクトを運営、サポートする。隊員が取り組む課題としては、村の魅力発信や、農家と外国人技能実習生とのより良好な関係構築などが想定される。

 参加する隊員は2年間の任期半ばで帰国。総仕上げとなる残り3カ月で帰国した人もいたという。JICA群馬デスクの佐藤祥平さんは「『不完全燃焼』の隊員が海外で培ってきた経験を地域に還元する機会にできたらいい」と話す。

 21日からの活動は、ブラジルやフィジーなどで体育や助産師といった任務に当たっていた県内出身の5人が担当。今月7~9日には隊員らが準備のために現地を訪れ、早朝からキャベツの植え付けを体験したり、農家から直接、課題を聞き取ったりした。

 同NPOの矢島亮一理事長は、任期途中で緊急帰国した隊員たちの胸中を推し量りながら、「自分たちに何ができるのか、海外から嬬恋に来て働く技能実習生らとどのような関わりを持てるかなど、真剣に向き合えるはずだ」としている。

 同村では農繁期の人材不足が慢性化し、キャベツ生産の担い手として技能実習生に頼る面が大きい。嬬恋キャベツ振興事業協同組合の橋詰元良事務局長は将来的により多国籍の人材を受け入れる必要があるとし、「外国人との共生といった観点の提言で、農業が次の段階に進めば」と隊員たちの活躍に期待する。

 JICA東京は、プロジェクトの枠組みを他自治体で活用することも見据え、パイロット事業に位置付ける。6月上旬に第2陣、7月初旬に第3陣が加わり、合わせて25人程度が10月下旬まで取り組む計画だ。(北沢彩)

◎180人確保 農繁期前 人手にめど
 新型コロナウイルスの影響で外国人技能実習生が来日できず、深刻な人手不足が懸念されていた嬬恋村のキャベツ農家に、休業が相次ぐ飲食店や宿泊施設の従業員や人材派遣会社から多くの人材が集まっている。嬬恋キャベツ振興事業協同組合によると、約180人が確保でき、作業が本格化する6月を前に人手不足解消のめどが立った。

 約120軒の農家で、技能実習生約220人を受け入れ予定だった。同組合やJA嬬恋村などは、雇い止めなどで求職中や勤務先の休業で休職状態の人などを対象に、一時的な農業就業者を募集していた。

 村内のホテルで正社員として働いていた成田裕紀さん(45)は、ホテルの休業を受けて4月から農業に従事。再びホテルに戻る予定だが、収穫が終わる10月までは農家で働くことを決めている。「仕事がなく困っているときに仕事をもらえて助かった。収穫時期は大変だと聞いているが、体調に気を付けながら恩返ししたい」と意気込む。

 同組合の干川秀一理事長は「収穫が本格化してくると、作業になじめない人も出てくるかもしれない。留学生やJICA隊員などさまざまなチャンネルから応援してくれる人たちがいるので、そういう人たちの力を借りながらしのいでいきたい」と話している。(桜井俊大)

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