《コロナ現場発》PCR検査 感染リスク、暑さとの闘い 富岡
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PCR検査について「さまざまな協力があってできる」と感謝する大竹さん。検体採取の際は事務方などとの接触も極力避けている

 新型コロナウイルスの感染を判定するPCR検査を4月20日から続ける群馬県の富岡市甘楽郡医師会の大竹雄二会長(68)が、上毛新聞の取材に応じた。同市に世界文化遺産、富岡製糸場があることなどから人の往来が多いと判断し、3月から準備し態勢を整えた。感染リスクにさらされる検体採取は防護具姿での作業で、暑さとの闘いにもなりつつある。

◎3月から準備し態勢 「さまざまな協力」感謝
 39度の熱が出たという男性(90)が今月13日、同市のPCRセンターを訪れた。検体を採る綿棒「スワブ」を鼻の穴に入れられると痛がった。「(検体が)採れなくて陰性ではだめ。しっかり採る」。大竹さんは防護具姿で対応した。

 感染を防ぐため、患者には自分の車の中にいてもらう。検体は窓越しに、その場で採取する。この日の同市はよく晴れ、大竹さんは「暑い」とこぼした。甘楽富岡地域にある20医療機関の医師22人らが、日ごとに交代で応対している。

 検体は都内の民間検査機関に送られ、陽性か陰性か判定される。20日までに計49人分を採取し、同日時点で46人が陰性と分かった。陽性だった人はいない。

 県内でのPCR検査は、保健所を持つ県、前橋、高崎両市以外では最も早かった。大竹さんは、同地域は (1)製糸場 (2)日本光電などの生産拠点 (3)市街地近くの高速道インターチェンジ(IC)―があることなどから不特定の人の往来が多く、感染リスクはあると判断。3月16日に公立富岡総合病院、県富岡保健福祉事務所と緊急に会議し、PCR検査の必要性を話し合った。

 同28日に同地域で初めての感染者が確認され、準備を加速した。4月4日から防護具の着脱や受け付けの手順を複数回訓練し、マスクや消毒液といった必要な資材をそろえ、同20日からの実施にこぎ着けた。

 発熱や呼吸器症状がある患者の処置の仕方を振り分ける「発熱外来」も設けている。さらにPCR検査も取り組めるようにした理由について、大竹さんは「早期に発見し、拡散を防ぐ。まずは正確な実数を洗い出すことが大切。患者も早めに不安感を拭える」と説明する。

 同会の場合、医師や看護師らは任意でPCR検査などに協力している。大竹さんは、感染症対策にはこうした協力が不可欠だと指摘する。新たな陽性患者は減りつつあるが、「11月ごろには普通の風邪が増えて、市民が『コロナかも』と心配するかもしれない。その頃に『コロナはない』って状況にはならないと思う」と長期的な対策が必要との見方を示している。(五十嵐啓介)

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