感染初期に肺炎症状なし 藤和の苑 経過をホームページに公表
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 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した群馬県伊勢崎市の有料老人ホーム「藤和のその」を運営するケアサプライシステムズ(高崎市)は30日、感染拡大までの経過をホームページで公表した。同施設関連では68人が感染、16人が死亡している。最初に発熱を確認した4月2日から初めてPCR検査を行った同8日まで1週間、発熱者に肺炎症状は確かめられなかったとした。感染経路については触れていない。

◎現在も10人が入院
 調査によると、4月2日に2人の発熱を確認し、ともに翌日までに熱は下がった。5日までに入居者5人が発熱し、個室に隔離。6日に県などに報告した。

 7日、県伊勢崎保健福祉事務所にPCR検査を依頼したところ、帰国者・接触者外来に連絡するよう指示された。同外来からは同福祉事務所の指示に従うように言われ、結局検査は受けられなかった。

 8日に6人が発熱し、主治医の判断で入居者2人を病院へ搬送した。うち1人について、主治医が同ウイルス感染の疑いがあるとして、2人にPCR検査をした。この日まで、発熱者に肺炎症状はなかった。

 初めて入居者2人の陽性が判明した9日以降、症状が重い人から病院に搬送され、16日に入居者全員が入院となった。

 2月25日以降、発熱時の個室隔離や職員の検温とマスク着用など感染症対策を取っていたとした。一方で3月1日から感染確認までの期間に職員2人が県境をまたぐ移動をしていたことも明かした。面会・外出制限後、やむを得ない理由での面会や外出は3例だった。

 5月30日時点で、入居者やデイサービス利用者のうち10人が入院している。同社は公表時期について、「職員の退院・職場復帰後の調査になり、時間を要した」としている。

◎施設に説明求める…入所者親族
 新型コロナウイルスのクラスターが発生した「藤和の苑」の入居者の親族が30日までに、上毛新聞の取材に応じた。この入居者も感染し、発熱などの症状があったが、回復したという。親族の女性は「(一時は)もう駄目かと思った」と話し、施設側に感染経路などの詳しい説明を求めている。

 女性によると、入居者は4月にPCR検査を受け、陽性と判明した。施設内で感染発覚が相次いだ同月中旬から発熱などの症状があったという。利根中央病院(沼田市)に搬送され、入院して治療を受けた。女性は「顔を見られないままお別れになってしまうのではないかと不安だった」と振り返る。

 当初から容体は安定しているとの連絡を受けていたが、病院から今月、PCR検査で2度目の陰性が確認されたとの報告があり、ようやく「ほっとした」。退院後は、藤和の苑に再入居している。集団感染があった施設に戻ることに抵抗もあったが、女性は「むしろ今後は、感染症対策を徹底してくれると思う」と前向きに捉えている。

 一方、感染経路や拡大に至った原因などについて施設側からの説明はないとして、「予防体制などに問題があったのなら、改善してほしい」と注文を付けた。

 藤和の苑によると、今月2日から事業を再開し、退院した入居者の受け入れを始めた。

 周辺住民からは「消毒や清掃の時に(施設側から)通知が届くので安心している」とする声がある一方、「施設は再開したようだが、外を出歩けない状況が続いている。(感染拡大の)原因をきちんと明らかにするべきだ」との指摘も上がっている。

 藤和の苑では、入居者や関係者計68人が感染したが、20日以降の感染は確認されていない。

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