《保育現場のいま 無償化の先に(1)》コロナ禍 触れ合えぬ葛藤続く
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
マスクを着けた保育士が園庭で遊ぶ子どもたちを見守る=高崎市のおひさま倉賀野保育園

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校の休校が長期化する中でも、多くの保育園やこども園などの保育施設は運営を続けてきた。共働き世帯が増える現状下で“社会インフラ”としての役割が期待される一方、待機児童問題や保育士の待遇改善といった課題も残る。昨年10月には幼児教育・保育の無償化も始まった。子どもを安心して預けられる態勢づくりは進んでいるのか。保育現場の今を追った。

 元気に園庭を駆け回り、お絵描きに夢中になる子どもたち。対応する保育士らの口元はマスクで覆われていた。5月下旬、群馬県高崎市のおひさま倉賀野保育園で目にした光景だ。同園は毎日の検温や消毒に加え、「3密」を避けるために小まめな換気を行うなど、新型コロナウイルスの感染予防を徹底している。

 だが葛藤もある。小さな子どもにマスクを着けさせるのは難しく、抱っこをせがむ子もいる。保育士が食事を食べさせなければならないことも。2メートルの社会的距離を取っての保育は厳しいのが現実だ。清水房江園長は「触れ合うのが保育。予防の視点だけでは子どもたちのストレスがたまってしまう」と話す。

 感染拡大を受け、春に登園自粛が呼び掛けられた際には、保護者の協力もあって出席率が約4割まで下がることもあった。人数が減ったとしても、感染予防のために気を抜けない日々は続く。小中学校の休校措置が長期化する中で、小さな子どもを育てる保育士らが休まざるを得ない状況にもなった。

 新型コロナの影響を踏まえ、県保育協議会は3月、感染予防の課題などに関するアンケートを実施した。マスクや体温計といった備品の不足を訴えたり、「家庭によって危機管理に温度差がある」という切実な声が寄せられたりした。児童虐待などのリスク増が不安視され、家で過ごす時間が増える家庭へのケアにも追われた状況が浮かび上がった。

 臨時休校してきた県内の小中高校が今月1日に再開され、多くの自治体が一定期間の分散登校を経て全員登校に移行する。保育園を含め、子どもたちを巡る環境は徐々に日常に戻りつつある。だが、見えないウイルスから子どもや保育者を守るため対策の徹底が求められている。

 外出を控えるなど、長期間の「自粛生活」がもたらす子どもたちへの影響も懸念される。同協議会の深町穣会長は「幼児期の教育は発達の上で重要」とし、心のケアにより一層努める必要があるとの認識を示した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事