《コロナ現場発》感染性廃棄物の処理業者 不安の中 収集運搬
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廃棄物回収を終えた荷台の消毒作業。回数を増やし、事務所に戻るたびに消毒液を噴き掛ける(伊勢崎市の業者提供)

 新型コロナウイルスの脅威と闘う医療現場。そこから日々排出される注射針や点滴のチューブ、血液や鼻水の付いたティッシュといった感染性廃棄物は、都道府県から許可を受けた産業廃棄物処理業者によって無害化され、最終処分場に運ばれる。群馬県で処理を請け負う業者はマスクなどの資材不足に悩まされながら、感染予防のため重装備での作業を続けている。

◎長袖、長ズボン、ゴム手袋、雨がっぱ…
 長袖、長ズボン、ゴム手袋とマスクに身を包んだ従業員は病院の廃棄物保管庫に置かれたプラスチック容器を次々とトラックの荷台に積み込む。「箱の中にウイルスが入っているかもしれない」―。常に不安はつきまとう。一日に数カ所の病院や介護施設を回る。集めた廃棄物は中間処理施設に運ばれ、900度以上の高温で焼却処理される。

 新型コロナの感染拡大を受け、国は廃棄物処理について、国民の生活や経済の安定に不可欠だとして、2018年3月に作成された「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に沿った対応を求めている。県内の業者は新型インフルエンザやノロウイルスなどこれまでの感染症の経験を踏まえ、対策を徹底している。

 高崎市の収集運搬業者は長袖、長ズボン、マスク、手袋に加え、追加のゴム手袋と防護具代わりの雨がっぱを着込んで作業するようにしている。ゴム手袋とかっぱは施設を移動するたびに処分する。担当者は「いつも以上に神経をとがらせている。従業員には負担を掛けているが仕方がない」と気遣う。

 東毛地域の収集運搬業者は、ウイルスを事務所内に持ち込まないよう出入り口を自動ドアに切り替え、玄関に全自動の洗面所を設置した。「ここまでしないとお客さまに安心してもらえない」と説明する。

 全国で欠品が相次いだマスクや消毒液。業界でも、こうした資材不足に悩まされた。伊勢崎市の収集運搬業者は「独自の購入ルートがなく、あらゆる手段でかき集めた」と振り返る。日ごろから多めに備蓄しているものの、使い回しをせずに捨てることを徹底したことで不足し、一時は危機感を募らせたという。

 全国で緊急事態宣言が解除されたが、第2波の到来が懸念される。医療機関にはいまなお治療中の患者もいる。業界内では感染拡大時の反省点を教訓とするため、物資の備蓄や人員配置といった計画の練り直しが進められている。この業者は「第2波は必ず来る。感染が落ち着きつつある今こそ万全の備えを固めなければ」と気を引き締める。(大森未穂菜)

 感染性廃棄物 医療機関や介護施設などから排出され、感染の恐れがある病原体などの付着の可能性がある廃棄物。感染症治療で使った物や臓器、それらの付着した鋭利な物などを含む。廃棄物処理法に基づき特別管理廃棄物として通常よりも厳しい規制に沿って処理される。

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