御巣鷹の尾根の墓標 新たに整地し移転 台風19号で流出被害
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新たに立てられた墓標=18日、上野村の登山道

 昨年10月の台風19号(令和元年東日本台風)による土砂災害で、日航ジャンボ機墜落事故現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村楢原)のスゲノ沢の墓標が一部流失した被害に絡み、日航などが近くの整地した登山道沿いに新たな墓標を設けたことが18日、分かった。流失しかかった墓標も併せて移し、移転地に30ほどの墓標が並んでいる。

◎再度流出の可能性も 遺族の安心を優先し移転決める
 尾根で最も多くの墓標が並ぶスゲノ沢は、昨年の土砂災害で18の墓標が流失し、今なお見つかっていない。村によると、日航が墓標が流されたことを遺族に連絡し、元の場所からなるべく近くに立て直したいなどの要望を受けた。3月下旬に村と日航の職員らが視察し、移転先を「昇魂之碑」とスゲノ沢にそれぞれ向かう分岐点付近に決めたという。

 流失被害に遭い、新たに作られた18の墓標とともに、流されなかったものの傾くなどしていた墓標も遺族の同意を得た上で移転。日航らが今月上旬に訪れ、立て直した。

 公益財団法人「慰霊の園」理事長の黒沢八郎村長は「本来は元の場所に再び立てるのが望ましいが、今後も災害で流失する可能性がある。遺族が安心感を得ることができるのが何より大切だ」と話した。

 例年通り4月29日に開山となった尾根について、村などは5月から、被災した村道や登山道の本格的な復旧工事のため、尾根へ向かう村道を通行止めとし、入山を規制している。工事は7月20日ごろまでの予定。

 また、尾根の管理人、黒沢完一さん(77)は18日、事故当時、県警などが現場検証の基点とした通称「×ばつ岩」のペンキを塗り直すなど整備した。

 「昇魂之碑」の西約100メートルにあり、高さ約4.5メートル、横幅3メートルほどの巨岩に、白いペンキで大きく×印が塗られている。黒沢さんは「事故を物語る数少ない現物記録。重要な役割を果たしたことを知ってもらい、事故を風化させないためにも残していきたい」と力を込めた。

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