《コロナに負けない! 絶メシ店を歩く》(5)寺西精肉店 揚げたての味 家庭に
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作り置きをせず、注文が入るたびに肉を切る杉本さん

 「学校が休校になって、子どものおかずを買いに来てくれるお客さんが増えた。むしろ少し忙しくなったくらい」。赤色で大きく「肉」と書かれた看板が目立つ「寺西精肉店」(群馬県高崎市末広町)の店主、杉本勝さん(82)は、3月からのコロナ禍を振り返る。1個75円のコロッケなど、手ごろな値段の揚げ物の需要が伸びたという。

 創業して50年。市民に親しまれているチーズ入りの「オランダコロッケ」をはじめ、トンカツやハムカツ、メンチカツなども販売しており、シンプルな味わいが地域の人々に愛されてきた。

 「なるべく機械は使わない。できる限り手切り」を心掛ける。揚げ物は作り置きをせずに、注文を受けてから肉を切り、調理する。「少し待ってもらうけど、揚げたてが一番おいしいから」。熱々の商品を若草色の薄紙と新聞紙で包めば、しばらくは温かさが持続する。

 当初飲食店のみだった絶メシリストに持ち帰りの個人商店も追加され、同店は2018年にリスト入り。杉本さんは「まさかうちの店が」と驚いた。

 思わぬ反響もあった。知名度が上がり、伝説のロックバンド「BOØWY(ボウイ)」で活躍した氷室京介さんの実家だと勘違いして訪れるファンが増えたことだ。寺西精肉店の本店で杉本さんは、氷室さんの父親と一緒に修業した。その後、氷室さんの父は同市倉賀野町に、杉本さんは現在地に支店を構えた。「氷室さんのお父さんの店が閉店したので、うちが『聖地』みたいになって。県外のファンが来ることもある」とほほ笑む。

 妻の美津枝さん(81)と支え合い、営業を続けている。「2人で一人前。後継ぎもいないから、どちらかが倒れたら店じまい」ときっぱり。それでも「一人一人のお客さんを大事にしていきたい」。商売への情熱は変わっていない。(おわり)

 塚越毅、吉野友淳が担当しました。

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