《コロナ現場発》苦境の農園 知恵絞る 果物狩り来場者減少
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ハウス入り口には感染防止策を伝える看板を掲示し、客にも予防ハウス入り口には感染防止策を伝える看板を掲示し、客にも予防の徹底を呼び掛けている=沼田市のサクランボ農園

 例年なら果物狩りを楽しむ人たちでにぎわう群馬県内の観光農園が、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けている。団体客が見込めず、営業短縮を余儀なくされる農園もある。各農園は感染対策を講じ予防に細心の注意を払っているほか、収入確保のために直売所を急きょ設置したり、インターネットを通じた販売を始めたりして苦境を乗り切ろうとしている。

 サクランボが最盛期の沼田市の農園。感染防止のため、従業員はマスクと手袋を着け、テーブルなどのアルコール消毒を徹底する。客が自由に摘み取りをできるハウスの前には予防を呼び掛ける看板を設置し、客にもマスク着用や消毒を依頼する。摘み取って食べた後の種を入れる小さいビニール袋を客に渡して、帰りに袋ごと段ボール箱に捨ててもらっている。

 この農園では首都圏から多くの人が訪れるが、今年は高齢者を中心に客足が落ち込み、宅配の注文が収入を支える。それでもハウスを開けて営業を続けるのは「毎年楽しみにしてくれているお客さんのため」という。この状況でも、6月の開園から毎週のように訪れる常連客もいる。

 来場客の意識も変化している。混雑しない時間帯を選び、少人数での来場が増えている。毎年来ているという東京都の女性は「農園が安全を確保してくれるので安心。訪れる以上、自分でも感染に気を付けたい」と話す。

 沼田さくらんぼ組合の小野勝司組合長は「こんなときだから、より一層、心の休息や癒やしを求めて農園を訪れるのではないか」と推測する。サクランボ狩りは今月中旬がピーク。小野組合長は「感染が起きないようそれぞれの農園が知恵を絞り、対策を徹底している。ぜひ訪れてほしい」としている。

 利根沼田地域では年間を通じてさまざまな果物狩りを楽しめるが、今年はいずれも苦戦している。イチゴ狩りがピークだった3月、原田農園(同市)は国道沿いに直売所を新たに設け、来場者減少による収入の落ち込みを補った。

 今月から順次開園するブルーベリー園では、多くの来場者を見込めないとしてインターネット販売を中心に切り替える動きもある。今後も夏から秋にかけてモモやプラム、ブドウ、リンゴと続くため、関係者は対応に頭を悩ませる。

 観光農園をはじめ、苦境に立つ事業者を応援しようと、同市観光協会はサクランボといった果物のほか、菓子や酒など地元の食品を5割引きで販売する企画を行っている。担当者は「売れ行きは予想以上。少しでも事業者の助けになればと始めた。沼田をPRし、収束後の観光客増につなげたい」と先を見据えた。(堀口純)

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